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執行役員・石井健さん【ブルースタジオspecial interview】

リノベーション会社徹底研究

すっかり定着してきた「リノベーション」という選択

今でこそ当たり前になってきた「リノベーション」という言葉。世間への認知度を高めた立役者ともいえるのが、「ブルースタジオ」です。1998年の創立以来、建築・空間デザイン及び不動産コンサルティングにおいて、幅広い活動を展開。リノベーション分野においては、自由で大胆な発想のデザインと暮らしやすさを両立させ、注目を集め続けています。今回は、そのブルースタジオ執行役員の石井健さんに、お話をうかがいました。

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ブルースタジオ執行役員・石井健さん

――リノベーション業界の先駆けともいえるブルースタジオさんですが、この10年、何か変化はお感じになりますか?

「10年前に比べてリノベーション業界の裾野は、確実に広がっていると思います。10年前はまだあまり浸透していませんでしたが、HOME’S総研の調査(※)によると、今では住宅取得を検討されている方の中で、“リノベーション”という言葉を聞いたことのある方は、90%程度にものぼります。また、住宅取得の初期段階で、中古マンションをリノベーションすることを想起する方が22.4%いるという結果が出ています。メディアの盛り上がりに比べると、案外少数だと言えるかもしれませんが、リノベーションがより身近なものになり、これまで建売や新築マンションを選択してきた方たちの層にまで広がってきたことは確かです」

※参考資料:『STOCK&RENOVATION 2014』

リノベーションとは「住まいの編集」。住み手が自由に参加できるのが醍醐味

――徐々に普及してきたリノベーションですが、未体験の人々にとっては、今ひとつピンと来ない部分も。じゃあリノベーションっていったい何でしょう?

「私たちは『住まいの編集』『暮らしの編集』と位置付けています。中古マンションをリノベーションする過程には、不動産、金融、家族のことなどさまざまな階層の要素が絡み合ってきます。それを1つ1つ解きほぐしながら、その人にとってベストな選択となるよう組み上げていくわけです。

さらには時間軸の要素もあります。現在は理想的でも、5年後、10年後を考えたときは、必ずしも暮らしやすい空間ではなくなっているかもしれません。子供が出ていったり、介護が始まったり、自分たちもその家に住まなくなるかもしれない、ということまで考えて編集する必要があります。その編集のパターンが無限にあるのがリノベーションの面白さなんです」

100人いれば100通りの住まい方、暮らし方がある……リノベーションの柔軟性や可能性に関心が集まり、そのスタイルが定着していく一方で、「いわゆるリノベーションっぽい家」というステレオタイプができつつあるのも実情だそう。

ステレオタイプといって思い出すのは、一時期流行ったデザイナーズマンション。「コンクリート打ちっぱなし」などの画一的なイメージに記号化された後、人々のリアルな暮らしとの接点が希薄になったため、リノベーションほどの広がりを見せなかった。

しかし、リノベーションの場合、「住み手ひとり一人の思いが形になることで、色あせることのない広がりを見せていると感じます。経費をかけたいところにはかけ、節約するところは節約する。自分たちがインテリアをつくる。住む人が自由に意見を出し、『住まいづくり』に積極的に参加できるという点が、着実に根づいてきた要因なのではないでしょうか」

住む人が「買うんじゃなかった!」とならないために

多くの人を魅了する空間づくりを手がけてきたブルースタジオ。プランニングをする際には、お客様との話し合いを最も重視されているそうです。

「家づくりをしたいと考えている方がいたとします。その方にとって、住宅を取得する選択肢は、リノベーション以外にもいろいろあるはず。まず、その方が望んでいるものは何なのか、一番いい形で具体化するにはどうすればいいのか、一緒に考えていきます。ご要望に合わなかった場合には、他をご紹介することも。

中古を購入し、リノベーションするという選択については、良い面、悪い面をニュートラルにお話しします。そして最終的には、資金計画を立て、投資できる額を算出し、具体化したいプランとすり合わせていきます」

長く「住む家」「暮らす家」を実現するためには、夢だけなく、現実的なプランニングがとても重要。住みたい街、住みたい場所、耐震の問題などなど……住み手と一緒に、徹底的に吟味するそうです。

「実際に、現場へとご一緒に足を運んでいただくことで、ご自身やご家族が本当に求めているものや、住んでみたときの5年後、10年後のイメージがよりリアルに見えてくるんです。そして、そのイメージや思いをプランニングに落としこんでいきます。」

リノベーションしたい物件が決まった後も、住む人が「買うんじゃなかった!」という思いにならないよう、話し合いを重ねます。その物件が持っているポテンシャル(その物件の魅力を一番引き出せる空間の使い方、いくつ居室をつくれるのか、etc…)と住み手の「こうしたい」という思い、そして作り手としての提案がうまくマッチングするかどうか、十分に検討していきます。

いい意味で期待を裏切り続けたい

この徹底した話し合いが、ブルースタジオの提案力の源なのでしょう。

「最初のコンセプトメイクには、力を入れていますね。面白いアイデアは、お客様から出てくることも多い。そのアイデアを取り入れながらも、期待をいい意味で裏切ろうと考えながらつくっていくと、思ってもみなかったような形になったりするんです」

たとえば、住み手が「赤い部屋」を希望しているとしても、「なぜこの人は赤を求めているのだろう」とさらに深層にある要望を掘り下げていくうちに、その理由なら、ほかの色のほうがいいのではないかと、全く別の提案をすることも。「会話をしているなかで、お客様の目が急に輝く瞬間がある。それが醍醐味ですね」

住まいが完成した時に、「まさにこの人が住むためにできた家だと思いたい」と語る石井さん。その言葉に、ブルースタジオの原動力が秘められていると感じました。

※2017年2月に取材した内容です

【石井健さんプロフィール】
1969年 福岡県生。1992年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業 ブルースタジオ執行役員/建築家・不動産コンサルタント。日本のリノベーション・シーンの黎明期から多数のリノベーションを手掛けてきた。著書:『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)

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