知っているようで知らない!リノベ用語集(構造・不動産編)

リノベーション・ゼミナール

ネットや雑誌でなんとなく目にしたことのある用語、正しく理解していますか? リノベするなら最低限知っておきたいキーワードを集めました。

text atsuko tanaka

直床・直天井

躯体に直接仕上げ材を張るのが直床・直天井。逆に、躯体との間に空間を設けるのが二重床、二重天井。「直床は古い団地などに多い。今は遮音規定の関係で、リノベの際はほとんど置き床をつくる必要があり、床が8㎝など上がる。そのぶん空間は狭くなるので、十分な確認が必要です」(石井さん)。「近年多いのは、二重天井から直天井への変更。断熱性は劣りますが、天井高を上げたい場合に有効」(青木さん)。

構造壁

建物を支える重要な壁。必要不可欠なものなので抜くことは不可。これに対して非構造壁は取り外し可能。「ラーメン構造の場合、柱と柱を結ぶ壁は大体構造壁。結んでいない壁は非構造壁なので、取っても地震に影響はないはず。でも重力は働いているので、事前に確認しないと大変なことになる場合も。壁式の場合は、上から下までつながっている壁は、たいてい構造壁。図面で太く書かれているので、ある程度は読み取れると思います」(石井さん)。

柱の上に水平に置き、上からの荷重を支える部材。「梁は壁面からの出っ張りが邪魔な場合は、なるべく隠す方法を考えます。例えば天井に段差をつけ、梁の付近はふかして低めに し、書斎にするなど。おこもり感が出て、天井の高いところとのメリハリもつきます」(石井さん)。

PS

パイプスペースの略。各居室の給排水などの配管をまとめたもので、建物の上下を貫く。「四角く囲ってあって邪魔ですが、共用部なのでいじれない。居室内の細かい配管は専有なので位置の移動はOK」(青木さん)。

ハツる

漢字で書くと「斫る」。名詞はハツり。「土間やコンクリートの壁などを壊したり、表面を削り取ったりする作業を指します」(石井さん)。ちなみに建物自体を取り壊すことはRC造であってもハツりとは言わず、解体になる。

勾配を取る

傾斜をつけること。「リノベで水回りの位置を移動する際、床面を上げて設備まで配管を延ばしますが、水がちゃんと流れるように配管の勾配を取る、といった場合に使用。水勾配とも言います」(青木さん)。

マイソク

マイソクとは、不動産仲介会社による物件の情報源。まず見るべきポイントはどこだろう? 「総戸数と建築年、管理費などとの関連性。あと備考欄も案外重要」(石井さん、以下同)。「特に注意したいのは、管理費が物件価格に見合っているかどうか。非常に安い、高いという場合は絶対に何か理由がある。色々見ていくと相場感が養われると思います」。

①1棟の総戸数/総戸数を見て、管理費、修繕積立金などとの関連性をチェック。「総戸数が少ないほど、管理費や修繕積立金は高くなります。総戸数が多いのに高いと、運営がうまくいっていないのかも、などの判断材料になります」。
②建築年/いつ建てられたのか、は重要項目。「団地などでは、うんと古ければ建て替えの対象になる可能性大。できればそのあたりも知りたいところ」。昭和56年6月1日以前に確認申請を行った旧耐震基準の建物なら、耐震性も要チェック。
③管理費、修繕積立金等/「見逃せないのが月々かかる費用。特に管理費は毎月消えるお金だけに妥当な額なのか、また、住宅ローンと合わせて毎月払っていける額なのか、よく確認を」。資金計画をざっと頭に入れておくことも必要!
④備考欄/さりげなく最後につけられた備考欄も、見るべき項目。「もし“告知事項あり”と書かれていたら要注意で、何か問題がある。例えば、住人が部屋で亡くなっていた、建て替えが決まっている等…。そういう場合は説明が必ずあるはずです」。

取材協力

石井 健さん

1969年福岡県生まれ。2001年よりブルースタジオに在籍し、現在執行役員を務める。リノベーションの創生期からおもに個人宅の物件を手掛け、1000 件以上の実績を重ねる

青木律典さん

1973 年神奈川県生まれ。デザインライフ設計室代表。一級建築士、インテリアコーディネーター、FP、公認ホームインスペクター、住宅ローンアドバイザーなど幅広い資格を持つ

<リライフプラスvol.25掲載>

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