リノベーションとは?をわかりやすく解説。リフォームとの違いから依頼先選びのポイントまで!

リノベーション・ゼミナール

ここ数年、「リノベーション」という言葉を耳にする機会が増えてきたと思います。
住宅だけでなく、お店や宿泊施設などさまざまな空間に取り入れられているリノベーションについて、この記事では、リノベりす編集部がわかりやすく解説していきます。

リノベーションの基礎知識から、メリット・デメリット、費用や依頼先の選び方まで、自分たちの条件や求めるものによって、しっかりと見極め・判断のできる知識を身につけていきましょう。

リフォームとリノベーションの違い

「リフォーム」と「リノベーション」。この2つの違いを、みなさんはご存じでしょうか。
実は「リフォーム」「リノベーション」ともに、しっかりとした定義づけはなく、その言葉を使う人それぞれが、自由に判断して使っているのが現状です。

そこで『リノベりす』では、多くの事例を紹介するなかで得た知見をもとに、リフォーム・リノベーションに独自の定義を設けました。

リフォーム

リノベりすが考える「リフォーム」は、古くなった素材や設備などを、表面的に「回復・修復」することを指します。
実際には、汚れた壁紙の貼り直しや床の張替え、劣化した外壁の塗装といった例があげられます。

衣類で言えば、ほころびやほつれなどの「お直し」に値するのがリフォーム。

マイナスになった箇所をゼロに戻す、「原状回復」や「修繕」に近い考えと言えるでしょう。

リノベーション

一方、「リノベーション」は、住まい手のより快適な住空間を目指し、空間設計を見直すことを指します。
間取りを変更して生活動線を見直したり、より機能的な設備・資材を取り入れることで、家の資産価値をあげ、住まい手のライフスタイルに合わせて、既存の物件を「再設計」することです。

衣類で言えば、着丈や身幅の形をアレンジして洋服そのものの機能性を向上させ、自身の体型に合わせて整える「リメイク」に値するのがリノベーション。

住まい手にとってマイナスである暮らしの問題や課題点をプラスに変える、「全改装」に近い考えと言えるでしょう。

リノベ=おしゃれなもの、というイメージが先行しがちですが、手を入れることでより機能的かつ快適な暮らしを送れるようにすることが、本来の「リノベーション」の目的であると、リノベりすは考えます。

実際に、近年のリノベーションでは、耐震や断熱などの機能面がより重視される傾向にあります。 断熱や遮熱は、外気温からの影響を抑えることで「夏涼しく、冬暖かい」住まいをつくります。

温度差を軽減することによって結露が発生しづらくなり、カビや腐食など家の傷みを抑えられるだけでなく、体にかける負荷を少なくすることもできるため、ヒートショック(※)予防にもつながります。
健康寿命を伸ばすこと、また予防医療の観点からも、ぜひ取り入れたいものです。

※ ヒートショックとは
急激な温度変化による血管の収縮や血圧の乱高下により、失神・心筋梗塞・脳梗塞など、身体に健康被害を引き起こすこと

また、自然災害や環境汚染、気候変動などの影響もあり、住宅本来の目的である「住まい手の命を守る」ことを改めて見直すリノベーション会社が増えています。

「大きな自然災害や季節による気候変動があっても、安心・安全に暮らせる住まいであることが重要」という住まい手側の意識や価値観が高まってきたこともあり、構造を見直し耐久性を高める耐震補強や、断熱対策といったさまざまな取り組みをおこなっているリノベーション会社が増えています。

「安心して快適に住めることが、家の価値を上げる」という認識が少しずつ浸透してきている今、住まいの本質をより良くするため、リノベーションは進化しているのです。

リノベーションのメリット・デメリットについて

中古物件のリノベーションを視野に入れている方の中には、同時に新築マンション・戸建ての購入も検討している方も多いのではないでしょうか。

ここでは、分譲住宅の購入と比較して、中古物件のリノベーションをおこなう場合のメリット・デメリットをまとめてみます。

リノベーションのメリット

・収納量を増やしたり家事動線にあわせた間取りにするといった、ライフスタイルに合わせた設計ができる

・内装を好みのもので揃えたり、趣味の部屋をつくれるなど自由度が高い

・設備の位置変更なども含め、住まいを一新できる

・築年数によっては、新築よりコストを抑えられるケースもある

・家の機能を上げることで、資産価値を高められる

参考)リノベーション協議会による、「リノベーションのメリットと未来」について

リノベーションのデメリット

・ベースとなる物件の見極めが必要

・物件購入を伴わない(持ち家の)リノベーションで、リフォームローンを使う場合、金利が高くなる

・物件を購入した場合、リノベ工事期間を要するため入居までの時間がかかる

また、戸建てリノベの場合に限りますが、新耐震基準の建物であっても、現行の耐震基準を満たそうとすると、ある程度の費用がかかる場合もあります。

これは、まっさらな状態でゼロから建てる新築住宅よりも、既にある建物に対する知識や構造に即した応用力と技術が求められるためです。

リノベーションの費用は工事の範囲によっても大きく変わる

リノベーションをおこなううえで、やっぱり気になるのは費用の相場感。

マンション・戸建て、築年数や範囲など、物件によって千差万別ではありますが、ここでは工事をおこなう範囲「部分・フル・スケルトン」の違いとそれぞれの平均的な予算について解説します。

部分リノベ

予算:400万円〜(場所にもよります) / マンション・戸建て共通


家のなかを部分的にリノベーションする部分リノベ。
近年では、新築や築浅の物件を購入し、部分的なリノベーションによって、住まい手の趣向を取り入れる方法も多くなっています。

フルリノベ

予算:1平米あたり8万円〜 / マンション


骨組みは壊さず、全体に手を入れるのがフルリノベ。
フルリノベでは、床材を変更しつつも床組はそのまま使うなど、使えるところはそのまま使用します。
戸建てのフルリノベは、広さや施工内容、使用する建材によって金額が異なります。
築年数が25年を超える場合には、配管交換もおこなうと安心です。

スケルトンリノベ

予算:1平米あたり12〜20万円 / マンション


床・壁・天井などをすべて壊して、骨組みが見える状態にしてからおこなうのがスケルトンリノベ。
戸建てでのスケルトンリノベの場合、柱・梁・筋交いなどはそのまま使用する場合もあります。

また、古くなった配管などの交換を確実におこなえるのも、スケルトンリノベならでは。
戸建てのスケルトンリノベは、広さや施工内容、使用する建材によって金額が異なります。

リノベーションで、できること・できないことを把握しよう

リノベーションのメリットは自由度の高さ。
できることは数多くあるので、まずはできないことから解説していきましょう。

「できないこと」は既存建物の工法・構造が原因となることがほとんどです。

リノベーションでできないこと

【マンションリノベ】

マンションでいちばん難しいのは、水まわりの移動です。
排水には1メートルに対して1センチ勾配をつけるのが理想的。これを守らないと機能面での問題が出やすくなります。移動する位置によって勾配がつけられなかったり、床を上げて勾配をつけてもその分天井が低くなったりと問題が出やすいため、工事が難しくなります。

また、集合住宅ならではの制限として、玄関ドアや窓など、共有部分にあたるものの交換ができません。
それ以外に、素材や骨の組み方となる建築工法によって、制限もさまざまなところに影響します。

【RC造】

鉄筋コンクリートの壁に穴を開ける、梁を壊す、柱を取り除くなど、構造に関わることは耐震面や家の強度に関わってくるためできません。

壁式工法(※)やラーメン工法(※)といった構造の種類により、壁の移動ができない場合もありますが、基本的に木造の壁(雑壁)であれば取り除くことは可能です。

※ 壁式工法とは
おもに低層マンションで用いられている「壁式工法」と呼ばれる構造では、壁と床、天井で構成され柱梁(ちゅうりょう)がないため、室内に凹凸が少なく、広く空間を取ることができます。
しかし、構造上取り払えない壁が多いため、大きな間取りの変更が難しくなります。
※ ラーメン工法とは
おもに中層以上のマンションで用いられている「ラーメン工法」は、柱梁で骨格をつくり、そこに壁を貼っていく構造方法を取り入れています。
そのため、柱梁以外は比較的、手を加えやすく間取りを自由に変更しやすいです。

【鉄骨造】

アパートや戸建て住宅に多い鉄骨造も、基本的な考え方はRC造と同じです。
「窓を大きくしたい」、「現在外壁になっているところにドアをつけたい」、「屋根に天窓をつけたい」など、家の構造に関わるため難しくなる一方で、内装や間取りについては対応可能な場合が多いです。

リノベーションで重要なのは、既存建物の構造をしっかりと確認すること。
構造や工法など、建物のタイプによって、できること・できないことは変わってきます。

リノベーションでできること

一方、「できないこと」で説明した水まわりの移動や壁式工法であっても、さまざまな工夫によって快適な住まいづくりは可能です。

まずは、壁式工法のマンション事例をご覧いただきましょう。

壁と床と天井で支える

RC造 壁式工法のマンションリノベ

壁式工法のため、動かせない壁があったマンションでのリノベーション。

間取り図の赤い部分が、動かせない躯体(くたい)部分です。こちらは、「動かせない壁」という制約を逆手に取って、採光とゆるやかなゾーニングを可能にした事例です。

北欧家具の映える部屋に。フルリノベでデンマークの暮らしを再現 | ゼロリノベ

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柱と梁以外は自由。間取りの変更はしやすい

RC造 ラーメン工法のマンションリノベ

愛猫と暮らすワンルームリノベ事例。二重サッシを使うことで断熱性を向上しただけでなく、マンションでは一般的に難しいと言われるバスルームの移動も実現。
配管に勾配を付けられる広さが備わっていれば、思い切った移動もできるという実例です。

天空のバスルームが家じゅうに光を届けるワンルームリノベーション | ハンズデザイン一級建築士事務所

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間取り変更の自由度が高く、増改築もしやすい

木造軸組(在来)工法の戸建てリノベ

既存では1階にあったリビングを、陽当たりの良い2階に移動した事例。
既存の間仕切りを取り払い、躯体だけを残してリノベーションを行うことで、大規模な間取り変更を実現しました。4方向に設けられた窓により、風通しも改善。床暖房や二重窓などを取り入れたことで断熱性も向上しています。

上下階の間取りを逆転!明るいリビングを叶えたスケルトンリノベーション | 駿河屋

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リノベするなら!リノベーション会社の種類を知っておこう

ひとことでリノベーション会社といっても、そのタイプはさまざま。

ここではリノベーション会社の種類と、その特徴を紹介します。

[TYPE1] リノベーション専門会社

専門会社ならではのノウハウを活かした技術力が特徴。豊富な施工実績をもとに、トレンドを取り入れた、リノベーションを提案してくれます。
「ワンストップサービス」など、物件探しからプランニング、資金計画までのすべてをサポートしてくれる会社もあります。

[TYPE2]不動産系リノベーション会社

不動産の売買、仲介を本業とし、中古物件の購入相談に強いのが特徴。
戸建てよりもマンションリノベを得意とする会社が多く、物件探し以外にリノベーション済み物件(再販物件)を販売していることも。
スピードや価格を重視したい人には特におすすめです。

[TYPE3]建築・設計事務所

強みはやはり設計力。
コンセプチュアルな空間づくりが得意で、自由度の高いデザインはもとより、細部の納まりまで設計してくれるのが魅力です。戸建て、マンションともに対応可能な会社が多いのも特徴。自社での施工は行わないため、遠方でも依頼が可能なケースも。
現地の施工会社を探してくれたり、施工状態のチェックを設計者目線で行ってくれる点がメリットです。

[TYPE4]工務店

工務店の強みは現場力。リノベーションのほかに、戸建ての新築住宅を手がける会社が多いです。
耐震・断熱などの性能向上や、現場力が必要とされる戸建てリノベに対応できる会社が多いのも特徴。地域密着型の工務店なら、入居後、何かあった時もすぐに対応してもらいやすく安心です。

[TYPE5]修繕系リフォーム会社

内装の模様替えや水まわりの交換など、小規模なリフォームから相談に応じてくれるのが強み。
複合工事の連続であるリノベーションは設計や施工管理なども含めたチームで行いますが、修繕系リフォームの場合は担当者が内装のコーディネートや施工管理を行う会社が多いです。
基本的にひとりの担当者が対応するため、窓口が複数にならずコミュニケーションが取りやすいという利点もあります。

[TYPE6]ハウスメーカー

新築戸建ての建築からメンテナンス等のリフォーム事業を経て、リノベーション事業を展開するハウスメーカーも増えてきました。
自社での設計・施工物件にとどまらず、独自の工法や培ってきたノウハウを活かしつつ各建材メーカーと協力して、安心・安全なリノベーションを提供しています。大手ならではの、丁寧かつきめ細やかな対応も特徴です。

また、大手ならではの組織力による、関連企業(不動産・金融)との連携したサービスを受けられる利点も。
不具合や故障が生じたらすぐに相談できる24時間サポート体制など、保証対応に力を入れる会社も多いです。

依頼先によって大きく変わる、リノベ会社の選び方のポイントは?

ここまでメリット・デメリット、できないことや会社のタイプなど、リノベーションで知っておくべきことを解説してきましたが、リノベりすが、これらの知識と同じくらいリノベ会社を選ぶうえで大切だと考えていることがあります。



それは「正しい判断軸を持つ」ということ。

リノベ会社を選択する際、好きなインテリアのテイストなどで選ぶことも選択肢のひとつですが、設備交換だけのリフォームと違い、リノベーションは既存建物に対しての複合的な工事を行い、なおかつ住まい手それぞれが求める暮らし方を、正しく汲みとってくれる依頼先を見つけることが重要です。

だからこそ、価値観に共感してくれて、完成まで責任を持ってくれる会社を選ぶことが大切です。

Aさん:「よく広告を見る有名な会社だから」
Bさん: 「ネームバリューがあるから」
Cさん: 「見積もりが安いから」
Dさん: 「担当者の人柄が良いから」

もちろんこれらも判断材料にはなりますが、それだけで選ぶことはお勧めできません。
また、個々に寄り添うリノベーションだからこそ、会社ごとの得意分野を見極めることも重要です。

初回の見積もり金額が安かったとしても、イメージのすり合わせや現地調査の精度などが足りないと、打ち合わせ不足や施工の経験不足などが重なることで追加工事が発生してしまい、結果的に比較した会社と変わらない金額になってしまった……なんてことも。

そのため、希望する工事内容がその会社の得意とする工事ではない場合、予備費を上乗せされてしまう可能性もあります。
想定していたより高いと感じたり、他の会社よりも見積もり金額が高かったりした場合には、その理由をしっかり聞いて、納得することが大切。

・使い勝手や掃除のしやすさなどを重視するなら、金額に見合うだけの製品導入や動線設計がなされているか

・耐震性や断熱性を重視するなら、その安全性や性能が保証されるだけの施工体制を持っているか

・インテリアの統一感を重視するなら、置き家具ではなく造作家具の制作が得意な会社か

・施工後の安心を求めるなら、完成後のアフターフォローやメンテナンス、保証が手厚いか

みなさんの求めるものを得意としていて、なおかつ希望を満たすだけの内容を担保できる会社ならば、適正価格であると考えられます。

自分にとって何が最優先なのか、それに対して適正であるかどうかという判断軸も、会社選びの大切なポイントです。

参考)▼目的別で選ぶ!オススメのリノベーション会社は?(デザイン・設計、物件探し、保証で比較)

自分らしいリノベーションができる会社を選ぶ判断軸を養って、リノベりすで信頼できる家づくりのパートナーを探してみてください!

リノベーションを考えているが、自分にあった会社がわからない!何から始めたらいいの?

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