わずかな壁の移動で光の反射が空間に広がりを。素材の質感にこだわった洗練リノベーション
古谷野工務店 (設計・施工)
DATA
間取り図
「お客様一人ひとりに最適解を」
わずかな壁の移動で住まいの不健全さを改善
103㎡と十分な広さはあるものの、空間のつながりや光の通り道が確保されておらず、閉塞感のあった以前の間取り。リノベーションの依頼を受けた古谷野工務店は、大きな間取りの変更を希望されていない中で、それらの改善にのぞみました。
窓からの採光がなく日中でも電気を点ける必要のあった廊下は、LDKに面する建具の一部をガラスにすることでやわらかな光が入るように。廊下の幅は変わらないものの、各個室への入り口をわずかにずらし空間を拡張。このちょっとした変更による抜け感が窮屈さを大きく軽減しています。
独立していたキッチンはリビングダイニングとの間にあった壁を取り払い、ひとつながりの空間へ。窓が多く明るいリビングの雰囲気がキッチンの奥まで届きます。
また、キッチンカウンターをダイニング側に寄せ、奥に家電を置くパントリーを新設することで、リビングから見た際に生活感が隠せる仕様に。キッチン背面の壁にはリビングダイニングへ続く造作のキャビネットを配し、大容量の収納で整然とした住空間を保つことができます。
暮らしの質を高める「木」の存在感
室内の意匠性をグッと高めているのは壁や柱に使用されている「木」。多用されているわけではありませんが、効果的に使われ存在感を放ちます。
特に玄関を入ってすぐに目に飛び込んでくる、縮み模様の入ったカバザクラの壁はインパクトのあるフォーカルポイントに。元は洋室のクローゼットだった場所ですが、洋室と切り離して新たにシューズクローゼットとして使用しています。壁を少し奥に設定し玄関にゆとりを持たせることで、重厚な壁でも圧迫感はありません。
さらに元々は壁と一体となっていた2本の柱を敢えて独立させ、木目の美しいサワグルミ(ヒッコリー)の突板仕上げに。意図的に家のシンボルのような存在としています。
使用した大らかな木目の樹種は、設計士が施主の朗らかな人柄からイメージしたものなのだとか。光の陰影美がしい、心地よい住まいへ生まれ変わりました。
リノベりす編集部コメント
間仕切り壁の位置をわずかに変更しただけで、見事に空間の余白と光の通り道を確保できていますね。造作家具の高さや壁のラインを揃えることで美しいおさまりとなっています。