オトナリノベの基礎知識3/3

リノベーション・ゼミナール

今の暮らしをもっとよくしたいと思っているあなた。 いまどきはリフォームをバージョンアップした リノベーションという方法があるのをご存知ですか。 「でも具体的にどこからどうしたらいいのかわからない」。当然です。 ここでは、リノベーションの基本的な知識をご紹介します。 今の家をどんな風に変身させられるのか 想像してみてください。

イラスト=大島健二 Kenji Oshima(OCM一級建築士事務所) 

構成・文=大山直美 Naomi Oyamatext atsuko tanaka

<基礎知識その2>
どこまでやるかで 工事費は大きく変わる

費用がどの程度かかるかは気になるところだが、建物の規模や状態、どこまで手を入れるかによって違ってくるため、一概にいくらとは言いがたい。大ざっぱな目安としては、水回りと内装をすべて一新する全面リノベの場合、マンションで最低でも700万円以上、戸建てで1000万円以上はかかると思っておいたほうがいいだろう。戸建ての場合は、構造を補強したり、外装も一新することが可能なので、そこまで含めるともっと費用がかさむことになる。特に、屋根や外壁をいじると、200〜300万円は大幅に上乗せになることを覚悟しておこう。さらに、着工後、シロアリ被害や基礎部分の傷みが見つかることは珍しくなく、追加工事費がかかることもあるので、その分の予算は準備しておきたい。
予算が限られているなら、極力、既存の建物を生かす、戸建てなら2階は手をつけず、1階のみ部分リノベするといった割り切りが必要。最近、マンションでは割安な定額制のパッケージプランを用意しているリノベ会社も増えているので、こうしたプランを選ぶのも一案だ。

300万円以上のリフォームを3年以内に実施した人を対象にした、インターネット調査の結果。マンションと一戸建てでは、平均約156万円の差がある

<基礎知識その3>
住宅性能を客観的に診断する ホームインスペクション

特に戸建ての場合、気に入った中古住宅が見つかっても、耐震性、雨漏りやシロアリ被害など、目に見えない部分の性能は大丈夫なのかは大いに気がかりなところ。そこで、購入前に「ホームインスペクション」を実施するケースが増えている。これは、ホームインスペクターと呼ばれるその道のプロが外回り、室内、床下、小屋裏、水回り設備などを調査し、中立的な立場で住宅診断を行うサービス。事前に必要な改修箇所や費用の目安がわかり、欠陥住宅を購入するリスクを減らすことができる。延床面積100㎡の住宅の場合で、所要時間は2〜3時間、費用は6〜20万円程度。
昨年の法改正により、早ければ2018年には中古住宅取引の際、ホームインスペクションを行ったか否かを告知することが義務化される。いずれは実施自体を義務化してほしいものだ。

戸建ての床下点検口から、基礎や土台、配管、断熱材などを確認しているところ。同様に、屋根裏の金物や断熱材、水染みの有無なども調べる

こちらはマンションの診断の様子。床や壁、建具枠などの水平・垂直をオートレーザーで計測し、建物に気になる傾きがないかどうかをチェック中

(C)さくら事務所

<基礎知識その4>
リノベでも新築でもOK!二世帯や賃貸併用で相続税対策を

昨年、相続税の基礎控除額が引き下げられた。地価が高い都市部に家があり、そこそこ貯金があれば、「うちには関係ない」と思っている人にも相続税がかかる可能性は十分ある。だが一方で、被相続人の相続税を軽減する救済策である「小規模宅地等の特例」の適用範囲が大幅に緩和され、完全分離型の二世帯住宅も新たに適用となった。さらに、賃貸併用住宅も相続税対策としては有効。親の生前からこうした住宅に改修したり建て替えたりしていれば、子どもが相続する際には土地の評価額がかなり減額され、節税になる。

法定相続人が3人の場合、土地建物や現金を合わせて4800万円以上の資産があると相続税がかかる

法改正後は330㎡までの土地に建つ二世帯住宅であれば、内部で行き来できなくても同居とみなされるようになった。これにより、土地の評価額が最大で80%の減額に

<別冊住まいの設計228 リライフプラス特別編集 オトナリノベーションNo.1掲載>

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