できるところは自分たちの手で! 既存の良さを最大限に生かし、楽しみながらセルフリノベ
G-FLAT(ジーフラット) (設計・施工)
DATA
間取り図
結婚して賃貸住宅で暮らしながら、もっと自由に家をアレンジしたいという思いを募らせた松田さん夫妻。一戸建ての新築や築浅マンションも含めて検討した結果、古い一戸建てを買ってリノベーションすることに決めた。
「DIYが好きだったので、家も手をかけて住みたいなと」 そう語る夫に妻も賛同し、中古物件を探すなかで出合ったのがこの家。取り壊しが前提の古家付き土地として売り出されていたが、たまたま写真に写っていた三角屋根の建物が目に留まった。
「ひょっとしたらすごくすてきな家なんじゃない!?」 夫妻は直感し、すぐに現地の下見へ。実際に住めるかを見極めるため、ウェブで見つけたリノベーション会社G-FLATの担当者にも立ち会ってもらった。当時の印象を妻はこう振り返る。
「広い庭は荒れ放題で草木が茂っていましたが、“トトロ”が住んでいそうな風情ある佇まい。室内をのぞいてみると、建具や家具の雰囲気もすごくいい。G-FLATさんも同じように感動してくれ、この方たちとなら楽しく家づくりができると確信しました」
最大の課題である家の傾きは、柱や建具への影響とコスト面を考慮し、ジャッキアップせずに床だけを水平に補正。解消できない冬の隙間風は、熱量の強い薪ストーブ導入で対応することにした。
家への愛着が深まるセルフリノベーション
平屋の開放感を引き出すため、LDKにあった間仕切りは撤去し、趣ある梁を見せた吹き抜けの空間へ。寝室や子ども室も和室から洋室に変更したが、既存部分を生かしながらのリノベーションが今回のテーマのひとつ。
「使いやすい間取りだったので、あえて大きく変える必要はなかったし、例えば木製サッシもこの家の大切な構成要素だから」(夫)と、つくり付けの収納や建具の多くを残し、食器棚・書棚・桐箪笥など売主から譲ってもらった古道具もインテリアに採用した。
併せて夫妻が強く希望したのがセルフリノベーションで、ほとんどの壁と天井の塗装、フローリングの仕上げを自ら手掛ける。 「12月の入居までに終わらせようと思い、会社から帰って夜中もがんばったのですが…」(夫)
奮闘の甲斐なく作業は長引き、当初は客間とLDKのみで生活を開始。幼い子どもを世話しながら手伝う妻や、夫の母の助けを借りて、すべて完了したのは半年後だった。仕上がりに粗さもあるが、家への愛着は深まったよう。「今が完成形でなくても、生き物を世話するように家と付き合えばいいんです。これから子どもと一緒にできるのも楽しみ」(妻)
既存樹を受け継ぎつつ、夫は菜園、妻はガーデニングと庭づくりにも意欲的。しばしば山から野鳥が舞い降り、すぐ横の小川からサワガニが遊びにくる。「そんな自然環境との調和も古い家ならでは。次は庭をビオトープのようにしたい」と、夫妻の夢はさらに膨らむ。 (撮影 飯貝拓司)
【設計・施工:G-FLAT株式会社】今あるものを生かし、少しのデザインとアイディアで劇的に変化させるこの会社のプロフィールページを見る
MATERIAL
[屋根・外壁]塗装
[廊下]
床/パイン無垢フローリング
壁・天井/ブラスターボード+塗装
[リビング・ダイニング・キッチン]
床/パイン無垢フローリング
壁・天井/クロス
[主寝室・子ども室]
床/パイン無垢フローリング
壁・天井/ブラスターボード+塗装
[和室]
床/畳
壁/モルタル補修+塗装
天井/既存
[キッチン]
キッチン・レンジフード・カップボード/IKEA+既存
[サニタリー]
既存