1時限目:ありがちな失敗やトラブルから学ぶ! 【中古マンション購入のオキテ(1) 】

リノベーション・ゼミナール

中古マンション購入のオキテb

中古マンションは、建物も管理状態も千差万別。新しければいいとも、古ければ難ありともいえない。物差しがないだけに、買う人の判断が問われる。現場に精通する専門家にアドバイスを聞いた。(text utako hagiwara illustration aki yamashita)

 

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最大の失敗は資金ショート。購入前にコストバランスを考える

リノベーション前提でマンションを買うなら、購入代金とリノベーション費用の配分を考えて予算を立てるのは当たり前。なのに案外、それができていない人が多いようだ。「仲介業者はより高い物件を売りたいもの。つられて購入にお金をかけてしまい、リノベーション予算が足りなくなる人があとを絶ちません」とブルースタジオの石井健さんは言う。「たとえば、立地は物件で決まるが、使い勝手やインテリアはリノベーション次第。もっと安い物件でもよかったのに、ということはよくあります。自分は何にお金をかけるべきか、じっくり考えましょう。ほとんどの人がローンを組みますが、月々の支払いしか意識しない人があまりに多い。何十年も掛けて支払う総額がいくらで、その内訳はどうなっているのか。実は利息の占める割合が大きく、物件価格は半分に満たないことが多い。自分が何にいくら払うのかをきちんと把握し、全体を俯瞰することで、住まいを選ぶ意識が変わると思います」。
リノベゼミ1-3

 

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資産価値や耐震性は大事だけれど 一要因にすぎない

「よく、資産価値が高い物件が欲しい、という人がいます。しかし、資産価値って何でしょう」と石井さんは問いかける。「高く売れる物件は、みんなが欲しい物件です。駅に近いとか、高級住宅地にあるとか。当然、買うときも高い。そうすると、将来高く
売れたとしても、それほど差は出ませんし、借入額が増えれば当然利息の支払い額は多くなります。一般的な『資産価値』より、自分が住むときの価値を考えたほうがいいのでは」。
また、多くの人がこだわる「耐震性」にも、疑問を投げかける。「一般的に、新しい建物ほど耐震性が高い。しかし、築年数は価格にはねかえります。人生のリスクはほかにもあるのに、住宅の耐震性だけを絶対視してしまっていいんでしょうか?要はバランスの問題です。今は情報が多すぎて、かえって全体が見えなくなってしまう人が多いように思います。予算と同様、全体を俯瞰する姿勢が大切です」

 

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ヒビやクラックがあることよりも、住人に管理意識がないことが問題

中古マンションでは老朽化の度合いも気になるところ。「建物の周囲を回って、外壁のひび割れやタイルの浮きをチェックするのは事前調査の基本」と語るのは、不動産コンサルティング会社・さくら事務所の代表・長嶋修さん。しかし、「ひび割れの有無そのものが問題なのではありません」と言う。「問題は、その建物の状態を住人が把握し、対処しようとしているかどうか。ひび割れは補修すればいいけれど、管理組合にその意思がなければ始まりません」

 

 

>>ありがちな失敗やトラブルから学ぶ! 【中古マンション購入のオキテ(2) 】に続く

 

取材協力
ブルースタジオ
中古マンション購入前のコンサルティングから資金計画、物件探し、設計・監理まで、一貫したサービスを行う。「中古購入+リノベーション」という家づくりのスタイルを世に広めたパイオニア。

さくら事務所
国内で初めて「個人向け不動産コンサルティングサービス」をスタートし、第三者性を堅持した物件調査・アドバイスを続けている。住宅診断「ホームインスペクション」や住宅ローン、契約内容の事前相談など、様々なメニューを揃えた「不動産の達人サービス」を提供。

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