24/10/18 10:00 投稿
管理組合と管理会社。何がどう違うの?|マンション購入にまつわる素朴な疑問VOL.5
リノベーション・ゼミナール
人生の三大出費のひとつが家の購入。だからこそ、後悔なく満足できる物件を選びたいものです。
そこで、今回はマンションの「管理」について、知っておいたほうがいいこと、注意するべき点について解説します。
「リライフプラス vol.51」掲載
illustration:tatsuki oshimoto
edit:noriko sasaki
教えてくれた人 井出 武さん
管理組合と管理会社。何がどう違うの?
マンションで快適な生活を送るうえでも、また資産としての価値を維持するためにも欠かせないのが「管理」です。管理組合と管理会社、どちらも「管理」という言葉がつきますが、その役割の違いについてきちんと理解していますか?
また、マンションを選ぶ際に気をつけるべきポイントについても詳しくご紹介。現在、マンションを保有している人も、これから購入を検討している人も、「管理」について理解を深めることで、ぜひ満足のいく住み心地や暮らしにつなげてください。
管理組合はマンションを維持・管理する目的の組織
マンションの所有者は管理組合の構成員になることが必須
管理組合とはマンションを維持・管理することが目的の組織。マンションの区分所有者は、管理組合の構成員になることが区分所有法で定められていて、マンションを購入した人すべてが管理組合員になる義務、そして管理組合はマンション管理のすべての義務を負います。
管理組合は基本的には理事制で、理事長、理事、組合員などで構成されます。理事長や理事は定期的に理事会を開催。また、最低でも年に1回すべての組合員が参加する総会を開き、修繕計画や予算について話し合い、収支報告などを行います。
管理会社は管理組合から委託されてマンションの共用部分の管理を請け負う
あくまでマンションの管理者は区分所有者で、その区分所有者で構成する管理組合が管理を行います。ただ、管理組合が行う管理業務は多岐にわたり、また専門性の高い領域のものも。
そこで多くのマンションでは、管理委託契約に基づいて管理会社が入り、管理委託をしています。新築の場合、あらかじめ管理会社が決まっていることがほとんどですが、管理会社を替えることも可能。最終的なマンション管理の方針を決定するのは管理組合です。管理会社への委託方式は「全部委託」「一部委託」の2タイプ。まったく委託しない「自主管理」という選択肢も
【全部委託】
多くのマンションが採用しているのが「全部委託」。マンションの管理に関する業務をすべて管理会社に任せる方式で、管理組合の負担を減らすことができますが、そのぶん管理委託手数料などは高くなります。
【一部委託】
マンション管理に関する業務の一部を管理会社に委託する方式。例えば、清掃業者や植栽の管理などを行う造園業者は管理組合で直接発注して、それ以外を管理会社に委託するといったケースです。
管理組合で個別に発注先を選択できるのでコストを削減できるメリットはありますが、それぞれの業者とのやりとりを管理組合が行わなければならないため、負担が増えます。
【自主管理】
管理会社に委託せず、すべて管理組合で管理を行う方式。管理会社を利用しないぶん管理費を削減できますが、そのぶん管理組合の負担は大きくなります。
なお、管理組合にマンション管理の専門的な知識がある人がいないと、大規模修繕や日々の管理がおろそかになり、マンションの資産価値が下がってしまう可能性も。
管理人による管理方式は「常駐管理」「日勤管理」「巡回管理」の3タイプ
【常駐管理】
管理人が基本的に24 時間体制で駐在している管理形態。一般的には大規模なマンションや、高級マンションで常駐管理が採用されています。
不審者が敷地内に入ってきにくくなるなどの防犯面やマンション内がきれいに保たれるなどの維持・管理面のメリットがありますが、その半面、管理費が高くなる傾向に。
【日勤管理】
管理人が常駐ではなく、9時~17時など設定された業務時間のみ駐在している管理形態。
常駐管理は住み込みのケースが多いですが、日勤管理は通勤する「通い」がほとんど。平常時であれば、常駐管理と大きな差はなく、十分に安心できる管理方式といえます。また、常駐管理より管理費が低く抑えられます。
【巡回管理】
日勤管理よりも短い時間のみ駐在する管理形態。週に数日、曜日を決めて管理するケースが多く、午前中だけ、午後だけなど数時間の滞在時間内で管理します。
また、複数人の管理人で巡回することも。常駐<日勤<巡回の順で管理費は安くなります。
マンション管理の財源である「管理費」「修繕積立金」。その使用目的の違いは?
【管理費】
マンションの共用部分の日常的な維持・管理のために使われるお金。管理会社に管理委託をしている場合は、その手数料も含まれます。
管理人の人件費、共用設備の保守維持費および運転費、備品費、通信費その他の事務費、共用部分などに係る火災保険料その他の損害保険料、清掃費などの経費に充てられます。物価や人件費の上昇で、近年管理費も上昇傾向に。
【修繕積立金】
管理組合の資産で、共用部分の大規模な修繕に備えて積み立てておくお金。外壁の塗り替えや共用部分の給排水管の取り換えなどの経年劣化に関する工事、エントランスやロビーの改装、自然災害や事故による被害を受けた際の修復工事などに充てられます。
管理費同様、年々増額傾向に。
修繕積立金がどのくらい貯まっているか&長期修繕計画を必ずチェック
多くのマンションでは、5年、10年、15年、20年などといった長期間にわたる将来の修繕計画を立てて大規模修繕を行っているもの。その大規模修繕は修繕積立金を使って行われますが、国土交通省が実施した調査によると36.6%のマンションが修繕積立金不足であることが判明。
万が一、修繕積立金が不足していると、大規模修繕のタイミングで、不足分を補うため多額の一時金を徴収される可能性も。
マンションを購入する際には、修繕積立金がどれくらい貯まっているか、直近でいつどのような大規模修繕が行われて、次の大規模修繕はいつを予定しているのか、確認しましょう。不動産会社に頼めば、長期修繕計画を見せてもらえます。
管理会社への委託方式が「一部委託」の場合、その詳細を把握しておく
一部委託の場合は何をどこまで管理会社に委託していて、何を管理組合で管理しなければならないかは、そのマンションの管理組合によって異なります。どこまで自分たちでやる必要があるのかを、事前にきちんと確認しておくのがベスト。
一部委託の場合は、全部委託よりも管理費を安く抑えられますが、その分、区分所有者の負担が増えるというデメリットもしっかり理解しておきましょう。
エントランスや廊下、ゴミ置き場などがきれいに保たれているか確認を!
マンションを内見する際、自分が住む予定の部屋をすみずみまで確認するのはもちろん重要ですが、それと同じくらい大切なのが共用部分がきれいに維持・管理されているかどうか。共用部分が汚れていたり、設備が老朽化していると、資産価値が下がってしまいます。
エントランスはきちんと清掃されているか、敷地内の雑草が伸び放題になっていないか、郵便受けスペースにチラシなどが散乱していなかどうかなど、自分の目で見て確認することが不可欠です。
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