「マイソク」って何?|マンション購入にまつわる素朴な疑問VOL.1

リノベーション・ゼミナール

多くの人にとって、大きな買い物となるマンション購入は初めての経験で分からないことだらけ。そこで、 毎回キーワードをひとつピックアップし、知っておいたほうがいいこと、注意すべき点について分かりやすく解説します。

「リライフプラス vol.47」掲載

graphic:WADE

edit:noriko sasaki

教えてくれた人 井出 武さん

学べるマンションメディア「マンション図書館」(https://mansionlibrary.jp/)の館長。1989年マンションの業界団体に入社。以後不動産市場の調査・分析、団体活動に従事。現在、東京カンテイ市場調査部上席主任研究員として、不動産マーケットの調査・研究、講演業務等を行う。

マイソクって何?どこをよく見ればいい?

マイソクとは、不動産仲介業者による物件の情報図面のことで、不動産の業界用語。案内図面、広告図面、広告表のようなもので、語源としては「毎日速報センター」が由来といわれています。

なお、「毎日速報センター」とは、元付け業者から依頼を受けて不動産情報を印刷した物件情報図面を、他の不動産業者に配布する事業で、1991年に「毎日速報センター」とアットホームが業務提携を行い、94年に株式会社マイソクと社名を変更しました。

マイソクに掲載されている情報の中でも、マンション購入希望者が特に注意して見ておきたいポイントについてご紹介します。

リライフプラス リノベーションゼミナール マイソク

※架空のマイソクです

1. 間取り図

実際に物件を見に行ったら、マイソクの間取り図と少し違う…ということはよくあります。

最近はオンライン見学会や、ウェブで物件の動画や写真だけを見て購入する人もいますが、新築でも中古でも、基本的に実際に見に行くことが大前提。できれば朝と夜、晴れの日と雨の日など、時間帯を変えるなどして何度か見学に行くのが理想的。

また、間取り図で使われている用語の中で、意味が分かりにくいものを右にまとめます。

リライフプラス リノベーションゼミナール マイソク 間取り図用語

2. 土地権利

この欄に「所有権」と記載されている場合、マンションの建物だけではなく、土地に関しても所有権があります。

一方、この欄に「借地権」と記載されている場合、建物の所有権は持つものの土地の所有権は持ちません。借地権とは、土地を第三者に借りて自宅を建てる権利のこと。土地を所有しないため、土地に関する固定資産税を支払う必要はありませんが、地主に毎月「地代」を支払う必要があるほか、借地契約の更新や売却時に手数料が発生します。

借地権には、「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。

「普通借地権」の場合、契約が満了しても更新することで住み続けることができ、正当な理由がなければ、地主側から更新を拒否することはできません。

「定期借地権」の場合、契約期間は50年以上ですが、契約期間が満了した場合は更地にして土地を返却する必要があります。

3. 用途地域

その地域に建てられる建物の大きさや種類などが決められているもので、周辺がにぎやかなエリアなのか、閑静な住宅街なのかを把握するのに役立つのがこの欄。以下の13 種類に分けられています。

リライフプラス リノベーションゼミナール マイソク 用途地域

出典:マンション図書館「第一種住居地域とは? 建築制限や特徴についてわかりやすく解説」

4. 専有部分

マイソクに記載されている専有部分の面積は「壁芯(へきしん)」表記になっています。建築基準法上の測り方で、壁の真ん中を基準にして面積を計測したもの。マイソク以外にも、パンフレットやチラシ広告の表記は、この「壁芯」面積で表記されています。

一方、壁の内側の面積だけを計測する「内法(うちのり)」という測り方もあり、「壁芯」の面積よりも狭くなります。登記簿に載せる際には「内法」面積となります。

注意が必要なのが、住宅ローン控除を利用するとき。中古マンションの場合は50㎡以上がひとつの要件ですが、この際の測り方は登記簿面積になるので「内法」面積となります。

そのため、マイソクで「壁芯」53㎡と表記されていても、「内法」では50㎡を超えるかどうか微妙なラインになるので、住宅ローン控除を希望している人は、余裕を見て「壁芯」55㎡以上の物件を選ぶとよいでしょう。

リライフプラス リノベーションゼミナール マイソク 内法

壁の内側の面積だけを計測

リライフプラス リノベーションゼミナール マイソク 壁芯

壁の真ん中を基準にして面積を計測

5. 建築年数

建築年数はマンションの場合、耐震基準に関わってくるので要注意です。建築基準法改正によって現在の新耐震基準が定められたのは、1981(昭和56)年なので、それ以降に建てられたマンションは新耐震基準だからOKと思っていませんか?

実は、1981年6月30日時点に建築確認申請が受理された物件までは旧耐震、7月1日以降に受理されたものは新耐震となっていて、建築年数が1981年の物件の場合、どちらにもあてはまる可能性があります。建築確認申請がいつ行われたかはプロでも分からないことも多く、仮に建築年数が1982年だったとしても、新耐震だと判断できないことも。

耐震性が気になる人はなるべく築浅の物件を選びましょう。

現在築40年の物件なら建築年数が1983(昭和58)年になり、ほとんどが新耐震だと思われるので、築40年以内で探すことをひとつの基準にするといいでしょう。

6. 総戸数

総戸数は管理費や修繕積立金と一緒に確認することが大事。総戸数が少ない物件ほど、管理費と修繕積立金が高くなるのが一般的です。

総戸数が少ないのに管理費や修繕積立金が低い場合、きちんと管理されていなかったり、大規模修繕の際に毎月の支払額とは別に多額の修繕積立金を請求される可能性も。

逆に、総戸数が多いのに管理費や修繕積立金が高い場合、運営がうまく行われていないなどの可能性もあります。

7. 管理形態・管理方式

しっかり管理されているかどうかは、そのままマンションの価値に直結するので、ここも要チェック。

「日勤」と記載されていても、毎日管理人が来て管理をしているのか、1日のうちに何時間勤務しているのか、といった詳細までは分からないので、不動産会社に確認しましょう。

「通勤」と記載されている場合も同様です。

また、管理状況を把握するには、実際に物件を見に行くのがいちばんの近道。きちんと管理されている物件の場合、共有部分のエントランスや廊下にはゴミが落ちていないものです。

8. 管理費・修繕積立金

管理費と修繕積立金は毎月発生するものなので、チェックは必須。昨今、修繕積立金は最低でも1万5000円~2万円/月はないと、将来足りなくなるといわれています。

中古の場合は、毎月の修繕積立金に加えて、修繕積立金が現状どのくらい貯まっているかを確認したほうがいいでしょう。不動産会社に聞けば、必ず教えてくれますが、逆に聞かないと教えてくれないことを忘れずに。

大規模修繕を行ったばかりのマンションは一見きれいですが、修繕積立金を使い果たしている場合があります。すると、次の大規模修繕までに急いで積み立てないと足りなくなるため、一時金を請求される可能性も。

また、住宅ローンを組む際には、ローンの支払額と管理費、修繕積立金の額を合わせて、毎月支払っていけるかどうか、よく検討することが大事。

9. 備考欄

ペット可物件を希望している人は、この欄を要チェック。

「現状有姿」とは、一般的に中古マンションに劣化や設備の故障があっても、そのままの状態で取引することを意味するので、注意が必要。必ず不動産会社に確認しましょう。

「告知事項あり」の場合、何かしらの問題があることが考えられます。例えば、住人が部屋で亡くなっていたなど。不動産会社から必ず説明があると思いますが、説明がない場合は、忘れずに説明を求めてください。

10. 手数料

手数料は法律で定められていて、上限は売買価格の3%+6万円です。まれに2%や1%という例がありますが、手数料とは別に紹介料などで上乗せされる場合もあるので、逆に注意が必要。

11. 宅建業免許番号

宅建業免許番号とは、不動産会社が宅地建物取引業の免許を受けたときに割り振られる番号のこと。このカッコ内の数字は免許の更新回数を意味します。ただ、社名変更した不動産会社などはゼロに戻るため、数字が大きい方が老舗とは一概には言えません。

また、複数の都道府県に事務所を置く場合は「国土交通大臣免許」、そうでない場合は「都道府県知事免許」となります。


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