5つのキーワードから読み解く「部分リノベ」のすすめ

リノベーション・ゼミナール

近年注目を集める部分リノベの魅力とは?人気リノベーション会社「ブルースタジオ」クリエイティブディレクターの石井健さんに教えていただきました。

「リライフプラス vol.48」掲載

text:hiromi matsubayashi

リライフプラス 部分リノベ ブルースタジオ 石井健

教えてくれた人 ブルースタジオ クリエイティブディレクター 石井 健さん

1969年福岡県生まれ。2001年ブルースタジオ参加。「弊社でも部分リノベの依頼は最近増えていて、特に子ども部屋の依頼は多いです。新築の建売物件を入居前に部分リノベするケースなども」

不動産価格と建築コストの上昇

部分リノベを選択する人は、なぜ増えているのでしょう。

「都心の不動産価格は上がり続けていて、バブル期よりも高くなっています。また、戦争や円安の影響で建築資材コストも高騰しているため、リノベにかけられる予算が少なくなっている、というネガティブな要因は確かに大きいです。一方でライフスタイルや価値観が変化し、中古マンションの質が向上してきたため、必ずしもフルリノベしなくてよくなった、というポジティブな要因もあります」(石井さん、以下同)

同じ築30年でも…

同じ「築30年」でも2000 年頃と現在では大きく意味合いが異なる、といいます。その理由は?

「マンションリノベがはやり出した2000年頃は、間取りや設備が古い1950〜70年代の中古物件を安く買ってフルリノベするのが合理的でした。しかし90年代以降の間取りは今とほぼ変わらなくなってきます。また建物の性能や設備類の質も向上しているため、築浅やリノベ済み物件であれば既存のいいところを利用して、部分リノベだけで十分に暮らしやすく改善できるケースが増えています」。

気をつけたいのは中古の一戸建て。

「構造審査が義務化されていなかった木造住宅等の小規模建築物、いわゆる4号建築物は、制度の見直しにより2025年4月より構造審査が必要になります。物件を見極める際には、図面がきちんと残っていることなどを確かめましょう」

全部壊さなくてもいいんじゃない?

設備や内装をすべて撤去し、いわば空中の更地にして間取りをダイナミックに再構築するフルリノベは、デザイン面でもたしかに魅力的です。でも今は、全部壊さなくてもいいんじゃない?と石井さんは言います。

「現在の不動産市場では、リノベーション済みの再販物件を購入せざるを得ないケースも多いと思います。これをネガティブに捉えずに、新品の設備や建具などをうまく生かして部分リノベするほうが時代に合っていると思います。地球環境への配慮という点でも望ましいのではないでしょうか」

新館と旧館

部分リノベの魅力のひとつは、既存物件の魅力を残したり、再利用できる部分を生かしてオリジナリティを出せること。

「新館と旧館が共存する旅館やホテルに例えると分かりやすいかもしれません。全部壊してしまうのではなくて、既存のいいところを見つけて、どうやったら既存を生かしながら自分らしく暮らせるか、を考えるのが部分リノベの醍醐味。部分リノベを前提にすると、物件の探し方も変わってきます。この家のこういうところは残したい、と思えるような箇所の多い物件を見つけて、楽しみながらリノベする、という考え方が今の時代に合っていると思います」

〇スモールバジェット ×ローコスト

「お金がないからちょっとしかリノベできない、チープでも仕方ないという発想だと、楽しくない。だから、低予算でも既存のいい部分を生かして自分らしいリノベをする“スモールバジェット”という考えで臨んでほしいですね」。

また、リノベでは想定外の出費が発生するケースも多々あります。

「コストが予想しにくいので、必ずしも部分リノベ=安く済むとは限りません。また、購入してリノベする場合はワンストップで依頼できる会社を選ぶのがいいと思います」

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