コンパクト物件をうまく住みこなすリノベ術

リノベーション・ゼミナール

「リノベーション・ゼミナール」の「コンパクト物件をうまく住みこなすリノベ術」

数々のコンパクト物件のリノベーションを手掛けてきた建築家の青木律典さんに、コンパクト物件を快適に住みこなすためのリノベのポイントや心構え、暮らし方の工夫などについて聞きました!

57平米:工事費 575万円(設計料別) 物件価格 1080万円

川崎市麻生区 青木邸 夫39歳 妻36歳
築年数 35年(昭和53年築)
専有面積 56.97m2
設計 デザインライフ設計室

photo takuji iigai

Before

after

以前は玄関からLDK全体が丸見えになってしまう間取りだったため、かえって狭さを強調。玄関から伸びる土間を中央に通し、間仕切りを設けて適度に見えなくすることにより、奥への広がりが感じられるプランとした。トイレを洗面カウンターの下に設置することで、広々としたサニタリーも実現。

DKは、実際は南側の窓が2つに分かれているのだが、内側に窓全体をカバーする5枚の障子を設置。これにより1つの大きな窓のように見え、DKに空間の広がりと開放感をもたらしている。障子は光と視線のコントロールにも有効。

「使う時間が限られている場所なので、それ以外の時間も有効活用しないともったいない」(青木さん)と、トイレを洗面カウンター下に設置。使用するときは天板を上げ、下げれば洗濯物を畳んだりアイロンを掛けたりできる。

玄関土間からまっすぐに伸びる廊下を設けることで、奥行きの深さを演出。また、大きなラーチ合板の引き戸で空間を仕切り、奥にあるDKを玄関側から見えなくすることで、さらに奥に空間が広がっているかのような視覚的効果を生んでいる。

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57平米:工事費 900万円(税込み・設計料別) 物件価格 2580万円

東京都品川区 O邸
夫35歳 妻37歳 長女1歳
築年数 43年(昭和47年築)
専有面積 56.70m2
設計 デザインライフ設計室
プロデュース スマサガ不動産

photo takuji iigai

Before

after

元は2LDKの間取りだったが、サニタリー以外は壁をすべて取り払い、ワンルームにして中央に“箱 ”を配置。箱のまわりにキッチンやリビングなど様々な場をひと続きに配置することで、廊下をなくして限られたスペースを無駄なく活用。回遊動線により暮らしやすさも実現。

O邸のキモはこの木の箱。空間の中央に配置することで、無駄なスペースとなる廊下をなくし、周囲をぐるっと使えるようにした。行き止まりがなく、すべてがつながっているので動線がスムーズで、空間の広がりも感じられる。

箱の中は、各スペースがオープンにつながるO邸の中で、唯一の個室である寝室。天井は低めにして上部にロフトを設け、床面積を増やしている。現在は収納になっているが、キッズスペースとしても利用可能。

ファミリースペースには、箱の壁面を利用して家族で使えるデスクを設置。キッチン側には大きな壁面収納を設けるなど、上下だけでなく箱の壁面も有効活用している。

53平米:工事費 700万円(税込み・設計料別) 物件価格 2800万円

東京都文京区 S邸 夫50歳 妻48歳
長男17歳 次男13歳 三男8歳
築年数 29年(平成元年築)
専有面積 53.07m2
設計 デザインライフ設計室

photo koji yamada

Before

after

5人家族のSさん一家が目指したのは、「合宿所」のような住まい。3つあった個室は壁をすべてなくし、畳敷きの道場のような広々とした空間を実現。上部にはロフトを設けて床面積を増やし、壁一面のオープンな収納を設置。各自が自分の持ち物を管理できるようにした。

S邸には個室はなく、代わりに多目的に使える畳敷きの大空間を設けた。ここに家族5人が布団を敷いて寝ており、昼間は遊ぶ場になったり、家族でくつろぐ場になったり。光や風も通り、開放感を楽しめる快適な空間だ。

畳敷きの空間の壁一面に収納を設置。テレビなどを収めた共用の棚以外は5等分され、1人につき1ロッカーを割り当て。各自が自分のロッカーを管理し、入らないモノは持たないようにすることで、スッキリとした空間を保てる。

床面積を増やすために、畳の上部にフリースペースとなるロフトを設置。壁面の収納の一部をデスクとすることで、リノベ当時は小学 4年生だった次男の勉強机とした。現在は三男の勉強スペースになっているかもしれない。

自らも6年ほど前にリノベーションしたコンパクト物件に暮らす青木さん。家族も増えたが、自分の暮らし方に合わせて設計したので不便さは感じないという。「設計する際には最初に生活の様子をよく聞き、必要な場所に、できるだけ収納を設けます」と青木さん。デッドスペースをつくらず、例えばパイプシャフトや洗濯機のまわりなど、少しでも空間があれば収納に活用。収納はオープンまたは引き戸にして、扉を開くスペースも省く。光を通す障子や床面積が増えるロフトなども積極的に採用。「リビングにはモノを置かないなどのルールを決めさせてもらうことも。コンパクト物件に住むことでモノを増やさなくなったなど、ライフスタイルも変化するようです」(青木さん)。

デザインライフ設計室
青木律典さん

1973年生まれ。妻、4歳の長男の3人家族。FPや住宅ローンアドバイザーの資格も持ち、ライフプランやファイナンスの相談にも乗ってくれる。障子や格子など、和の要素を取り入れたモダンで静謐な空間づくりに定評がある。新築、リノベーション、プロダクトデザインまで幅広く手掛けている。

「リライフプラス vol.31」掲載

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