【不動産のプロに聞く】実はみんな苦労してた!仮住まいQ&A

リノベーション・ゼミナール

「持ち家リノベ」最大のネックともいうべき仮住まい探し。「なかなか見つからなかった」「お金も手間もかかって大変」という声をよく耳にします。どんなことに気をつければいいのか、なるべく希望に合った物件を見つけるにはどうすればいいのか、不動産のプロに教えてもらいました。

「リライフプラス vol.45」掲載

text: asami simamura

取材協力

らくだ不動産 不動産エージェント 山本直彌さん

不動産仲介会社、大手マンション管理会社を経て、ソニー不動産 (現SREホールディングス))へ入社。より透明性が高く、ユーザー目 線に立った不動産取引を目指して、2020年にらくだ不動産へ参画。 https://www.rakuda-f.com/

4人家族の場合、初期費用はどれくらい見ておけばいい?

仮住まいへの入居にあたっての初期費用は、賃料の4~5か月分が目安。内訳は敷金と礼金、仲介手数料が1か月ずつ、保証料と火災保険で約1か月、当月日割り分と翌月の前払い家賃で1か月ちょっと、といったところです。これらは短期入居だから安くなるというものではありません。むしろ、短期前提の入居だと礼金の上乗せや、1年以内の契約解除に対して違約金が発生することもあり、より割高に。

初期費用を抑えたいなら、計算のベースとなる賃料がより安い家を借りるのが得策です。また実家に仮住まいする、もしくは荷物を預かってもらってコンパクトな物件に仮住まいする、というケースもよくあります。実家の場所や広さにもよりますが、検討する価値はあると思います。

忘れがちな手続きは?

免許証の住所変更や郵便物の転送手続きなどはしっかりする方が多いのですが、クレジットカードや銀行の住所変更は忘れがちです。また、資格を持っている方は要注意。更新が必要な国家資格などは、登録住所に更新手続きの通知が届くため、住所変更をしていないとそれが届かず、資格を失効する可能性があります。今後のためにも、住所登録をしている機関やWEBサイトの一覧表を持っておくと便利です。

貸主はなぜ短期間だと嫌がるの?

まずひとつめは、手間がかかって利益が少ないからです。 仮住まい前提の入居者と契約しても半年程度で退去されてしまい、家賃収入はストップ。次の入居者を見つけるためには、募集費用や仲介手数料などのコストもかかります。ふたつめは、「すぐに退去するから」という理由で家を大切に扱わないマナーが悪い方も中にはいるから。著しく傷や汚れをつけられてしまうと、補修するのに時間がかかり、空室期間が長くなります。

そもそもですが、必ずしも「仮住まいを探している」「工事期間中の半年だけ住みたい」などと不動産会社に伝える必要はありません。様々な事情で工期が延びたり状況が変わったりするかもしれませんし、普通に部屋を借りる場合であっても、短期間で退去せざるを得ない場合もあります。要は契約書に書かれていることをきちんと実行すればいいだけのこと。

また、なかには短期解約違約金が設定されている物件もありますので、しっかりと確認する必要があります。「仮」の住まいではなく、普通の引っ越しと同じように考えて取り組んだほうがいいと思います。

URがいいとよく聞きますが、その理由は?

UR都市機構(以下、UR)は仮住まい先としてはベスト。礼金と仲介手数料が不要ですし、短期解約に対するペナルティもありません。敷金は賃料の2か月分必要ですが、きれいに使っていれば大部分は返金されます。ただ、URはとても人気が高いため、希望のエリアで見つからない可能性も大。仮住まいでURを希望される方は非常に多いのですが、実際にタイミングよく借りられる方はほんのひと握り。UR以外の物件も並行して探しておいたほうが安心です。

トランクルームと併用するのってアリ?

仮住まいではトランクルームを積極的に活用すべき。なぜなら、3畳分の荷物があるとして、トランクルームの3畳と賃貸物件の3畳では、明らかにトランクルームの賃料のほうが安いからです。仮住まい期間中に使わない荷物はトランクルームに預けてコンパクトな物件を選べば、初期費用もぐっとお得に。フリーレント期間を設けているトランクルームもありますし、うまく活用して仮住まい費用を抑えるのがおすすめです。

仮住まい先では荷解きは 最小限にすべき?

新居完成後は仮住まいからまた引っ越すことになるため、最小限の荷解きで済ませるのは鉄則です。そのためには仮住まいの約半年間で使うものとそうでないもの、という基準で荷物を分けておくといいと思います。仮住まい中の季節やイベントなどを考慮して荷物を仕分け、不要なものは段ボールに詰めたまま保管しておくと、引っ越しも楽です。

ウィークリー/マンスリーマンションを利用するのはアリ?

これらのマンションは家具や家電付きであることが多く、それゆえ同じ条件の賃貸物件と比べると賃料がやや高め。さらに家具が設置されていることで自分の荷物を置くスペースが少なくなってしまうため、トランクルームなどの費用がプラスアルファで発生し、トータルの費用は割高になりがちです。

希望のエリアで確実に見つけるコツはある?

いろいろな不動産ポータルサイトに希望条件を登録して、こまめにチェックする、ということに尽きます。不動産には様々な取引態様があり、サイトAには載っているけどサイトBには載っていない、という物件もあるため、なるべく多くのサイトをウォッチするのがベター。また、ネット上に掲載がない物件もあるので、地場の不動産会社などに希望条件に合う物件が出たら連絡がほしいと依頼しておくのも手。広くアンテナを張っておくことが重要です。

仮住まいの費用は住宅ローンに組み込める?

残念ながら仮住まいの費用は住宅ローンに組み込めません。ただ、住宅ローンやリフォームローンで頭金を入れる予定があるのなら、頭金を減らして現金を手元に多く残しておくことで、仮住まい費用を確保するという手も。ただしローンには必ず利子がつきますので、しっかりとした資金計 画が必要です。

ペットがいると物件が見つけにくいって本当?

そもそもペット可の賃貸物件が少ないので、確かにハードルは高いです。多頭飼いOKな物件はさらに希少。もし奇跡的に出合えたとしたら、エリアや予算などほかの条件は妥協してでも契約に踏み切ったほうがいいです。それくらい、ペット可の物件は少ない。どうしても見つからない場合は実家や知人に頼んだり、ペットホテルに預けるなどしなければなりませんので、ペットをどうするかはあらかじめよく考えておく必要があります。

仮住まいで起きやすいトラブルは?

賃貸物件の借主には、退去時に原状回復をする義務があります。なかには汚れや傷のすべてを借主が負担すべきと思い込んでいる方もいて、いわれるがままに修繕費用を支払ってしまうケースが多いです。汚れの程度や対象物によって借主と貸主の負担割合の目安が決まっていますので、本来なら払わなくていい経年劣化による箇所の修繕費用などを不当に請求されないよう、負担配分などの契約内容はよく確認を。また、「短期間だったしきれいだから大丈夫だろう」と、退去時の立ち会いを怠らないよう気をつけましょう。

リノベ会社探しも、家づくりのお悩みも
専任のアドバイザーに相談してみよう
リノベりすの「リノベ会社紹介サービス」では、
あなたに最適なリノベ会社を無料でご紹介いたします。

関連するリノベーションを知る記事

人気のリノベーション事例