リノベ工事中のトラブル・ クレームはどう防ぐ? 【マンションの騒音トラブル研究所 vol.3】

リノベーション・ゼミナール

集合住宅でのリノベーション工事はどうしても騒音や振動が発生してしまうため、トラブルが起きがち。工事する側はどんな対策をしているのか、また最近増えている苦情の種類について詳しく聞いてみました。

「リライフプラス vol.45」掲載

text: atsuko tanaka

illustration: tatsuki oshimoto

Q1 最近増えているトラブル・クレームは?

「テレワークが普及し、日中家で仕事をする方が 増えたため、トラブルが急増しています。 工事予 定のお知らせを近隣住戸にお渡ししていて、そこに弊社の電話番号を書いているのですが、オンライン会議の音声が聞こえない、頭痛がする、と強めのクレームが入ったことも。」(A社)。

なかには現場に直接訪ねてくるケースもあるそう。

受験生や、オンライン授業をしている学生がいる家からの苦情も多いといいます。 また交代勤務で働く人がいる家からの苦情も深刻。「夜勤なので、昼間寝たいのにうるさくて寝られない、というクレームもよくあります」 (B社)。

また近年は、様々な事情で資材の調達が遅れて、工事期間が延長になってしまうこともよくあり、「聞いていたスケジュールと違う。工事はいつまで続くのか?とクレームが入ったことがありました」(同)。

Q2 「持ち家リノベ」のほうがトラブルは起きにくい?

「持ち家リノベの場合、事前に施主さんから近隣住戸に工事のことをお話しいただけることが多いので、トラブルは比較的少ないです。また近隣住戸の情報をくださることも多く、騒音の発生する工事の時間帯などの調整がしやすくなります」 (A社)。

「近隣との関係が良好な場合は、お互いさま、で工事が進みやすい」(E社) との回答も。普段から良好な関係を築いておくことが大切といえそう。

また、仮住まいせず住みながらの工事を希望するケースだと、ことはやっかいに。「騒音はもちろん、室内の家具が汚れたり、作業員の対応に不満を感じる、といったトラブルも多いのであまりおすすめはしないです」(B社)。

Q3 トラブル防止のためにどんな対策をしている?

近隣住戸への挨拶は基本中の基本。
「着工前はもちろん、大きな騒音が出る際は、その工事の前にあらためて挨拶に行きます」(E社)。
「挨拶のときに、受験生や在宅勤務の方がいらっしゃるかなどをお聞きして、なるべく支障のないよう時間帯などを調整します」(A社)。

工程表を渡すとより安心してもらえる、という回答も。
「工程表を必ず対面で渡します。大きな音の出る解体、木工事などは文字の色を変えて、分かりやすいように工夫しています」(C社)。

「工事時間の厳守、これは大前提です。また、スケルトンにしてからのフルリノベーションの工事実績が過去にないマンションはクレームが発生しやすいため、着工前の説明はより詳しくしています。特に解体時などの音については、大きさや工事期間などをより詳細に説明。音の大きさをイメージしやすい言葉で伝えるように工夫しています」 (D社)。

「決まりごとや住民のことをよく知っているのは管理人さん。気をつけたほうがいいことなどを教えてもらい、従うようにしています」(B社)。

大きな音が出やすい工事

解体工事

躯体を現しにするので、いちばん音や振動が発生しやすい工程。内装材をはがすときはバリバリと大きな音が発生する。スケルトンにする場合は最後の清掃まで含めると5日程度かかることも(F社)


ビス打ち全般

躯体にドリルでピスを打ち込む音がかなりの騒音に。「ピス打ちは、大工さんの下地張り、電気関係の配線工事、 設備屋さんの排水管工事、エアコン設置など、多岐にわたり行われます」(D社)


木工事

木材全般にかかわる工事。木 材をカットする電気ノコギリの音、 ピス打ち、 全づちの打撃音などがかなりの騒音に。「フローリング工事も、撤去、床材の切断、籍工の際に騒音が発生します」(F社)


その他

音を立てている中で職人が出 す大声も苦惰の原因に。 「廊下側の窓を開けていると騒音が反響しやす いので、 閉める ようにしています。 なるべく廃材や工具を落とさないようにするのも大切」(F社)

Q4 トラブル防止のために施主ができることは?

誠意を持ってきちんと挨拶をすることが大前提。

「工事の前と後で2回、挨拶に行っていただくのがベスト。物件を購入してリノベの場合、隣はどんな方だろうと不安に思っているのは、施主さんも近隣の方も同じ。不安を取り除けば、工事への警戒心も多少和らぐと思います」(C社)。

「施主さんには、できれば単独で挨拶に行っていただきたいです」(F社)。

その理由は、単独で行ったほうがしやすい話もあるから。
「工事の挨拶がてら、うちは小さい子どもがいて…など簡単に家族の話をすれば顔見知りになり、多少騒音があっても苦情を言うまでにはなりにくい。 経験上、最終的には人対人だと感じています」 (同)。

アンケート取材協力/

インテリックス空間設計EcoDeco空間社SHUKEN Re、マスタープラン一級建築士事務所、リノベる。

【マンションの騒音トラブル研究所】の連載記事をみる

【vol.1】トラブル回避に役立つ5つのポイント
【vol.2-①】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE1:Kさん/音楽愛好家編)
【vol.2-②】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE2:Sさん/コントラバス奏者・講師編)
【vol.2-③】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE3:Tさん/チェロ奏者・講師編)
【vol.3】リノベ工事中のトラブル・ クレームはどう防ぐ?
リノベ会社探しも、家づくりのお悩みも
専任のアドバイザーに相談してみよう
リノベりすの「リノベ会社紹介サービス」では、
あなたに最適なリノベ会社を無料でご紹介いたします。

関連するリノベーションを知る記事

人気のリノベーション事例