可動家具でゆるやかに仕切り家族が居心地のいい場所で過ごす
DATA
間取り図
建築家の碧山美樹さんは、子育てをしながら仕事を再開、長女を保育園に預けて仕事場に通うようになり、「家に居るときくらい、子供と楽しく向き合いたい」と切実に思うようになった。だが、夫が結婚前に買った当時築12年のマンションはキッチンが閉鎖的で、子供の様子が見えにくい。
そこで3LDKの南側半分のリフォームを計画、独立型キッチンと和室を取り払い、タイル貼りのワンルームにつくり変えた。西側にオープンなI型キッチンと、思いきり大きなタモ無垢材のテーブルを配置、その周りを夫が集めた美しい椅子たちが囲んでいる。「娘がお絵描きしたり、私が仕事を広げたり、それぞれがテーブルの周りで好きなことをしています。何をしていても気にならないんです」
東の壁面は厚い杉板でできた本棚で埋まり、その手前を可動家具で仕切って3つのコーナーに分けている。奥は杉の縦格子で軽く仕切った夫のワークスペース、明るいバルコニー側は子供のスペース、その中間地帯にソファを置いたくつろぎのスペース。家具の配置を変えれば空間は変幻自在だが、今はこれがいちばん快適。「家族が何となくそこにいる感じ」があたたかく、心地よい。
原木を材木屋さんから購入。木の質感が生活を包む
この空間にはマンションっぽくない温もりがある。その大きな理由は無垢の木をふんだんに使っていることだ。タモの大テーブル、厚い杉板の棚、杉の角材を格子状に使ったパーティション…。木の質感がコンクリートの箱の内側に、やわらかな空気感を生み出している。 「群馬に古材なども扱っている知り合いの材木屋さんがあって、原木を買いに行ったんです」と碧山さん。 使った無垢材はタモと杉の2種類。大テーブルはスライスしたタモ材を2枚はぎ合わせている。杉は丸太のまま買って、必要に応じてスライスしてもらった。厚さ4㎝の棚板は耳付きのままで、そばに寄るとラフな木肌が自然を感じさせる。材料をまとめて買ってムダなく使い切ることで、かなりのコストダウンができた。一方、可動家具の材料は安価なシナ合板。シンプルなデザインにして、大工さんにつくってもらい、こちらもコストダウンにつながった。
今回のリフォームは第1期工事で、子供室が必要になったら、今回手をつけなかった北側の2室と水回りをリフォームする予定だという。
【設計:+Marchitects(プラスエム・アーキテクツ) 】自らの子育ての経験を踏まえ、段階的リノベーションを提案この会社のプロフィールページを見る
ビフォー・アフター
MATERIAL
LDK
床:タイル
壁:塗装 一部杉ルーバー、キッチンパネル
天井:塗装
INSTRUMENTS
キッチン本体:アルミルモ
コンロ:ガゲナウ
レンジフード:暖冷工業
食洗機:ミーレ
水栓:グローエ
トイレ、浴室:既存