22/10/26 10:00 投稿
マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE3:Tさん/チェロ奏者・講師編)【マンションの騒音トラブル研究所 vol.2-③】
リノベーション・ゼミナール
マンションの騒音トラブル、今回は楽器演奏による音がテーマです。楽器の音がむやみに響いてくればストレスに感じる人も。在宅時間が増え、楽器を楽しむ人も多い昨今、先輩演奏者の体験談を聞いてみませんか。
「リライフプラス premium no.2」掲載
text: atsuko tanaka
illustration: tatsuki oshimoto
マンションでの楽器演奏どうしてる?
Q1 以前、階下のお宅から苦情があったそうですが
Tさん宅は、マンション最上階の独立性の高い住戸。楽器演奏の影響は少ないと思いきや、階下からのクレームが。
「チェロの響きが下に伝わってしまっていたんですね。入居から1~2年、階下の方は相当我慢されていたようでした」。
Tさんは入居時に規約の等級以上の床材にし、二重床にして防振ゴムを入れるなど、費用をかけて対策していました。
「それでも迷惑をかけていた。幸い顔見知りで、直接言ってくださったので、深刻度が分かってよかったです」。
Q2 練習はどのようにしていますか?
チェロについてはクレームがあったため、基本的に家で弾くのをやめたというTさん。
「それ以降、私が勤めている学校の教室やスタジオなどで思い切り弾くようにしています」。
家でどうしても弾きたくなったときは?
「サイレントチェロといって、アンプを通して音を出す電子楽器版のチェロがありまして、これを使って音を出さずに弾いています」。
ちなみに駒の高さを調節したTさんの特注品で、奏者に欠かせない指の筋トレにも役立っているそう。
Q3 以前の住まいでも音の問題はありましたか?
以前の家も分譲マンションだったTさん。
「その家では壁に面して置いたピアノの音に対して苦情がきました」。
ただ、それが原因で今のマンションに移ったわけではないそう。
「居心地のよさも大切にしたいので、最上階で、広いルーフバルコニーがある物件を探していて出会ったのが今の家。防音室の設置も考えたのですが、狭くて窓がなく、費用も高額。仕方のないことではありますが…。いつかデザイン的にも満足のいく防音室をつくれたらと思っています」。
取材協力/SHUKEN Re
●1 使用細則、管理規約はマンションの憲法。しっかり確認を
「分譲マンションでは、管理規約や使用細則は憲法のようなもの。必ず守る必要があります」。楽器に関してはどのように定められている?「結構まちまちです(笑)。使用細則で多いのは『朝何時から夜何時まで』『長時間にわたる演奏はしない』など。人によってかなり解釈が違うので、楽器を弾く方はしっかり確認が必要です」
●2 何らかの工事を行う場合は管理組合に確認を
「工事の際は、簡単なリフォームでも管理組合に届け出るのが規則」。注意したい工事の一例が、ユニット型の防音室。「既存の室内に遮音性能の高いブースを設けるような製品だと、火災報知器やスプリンクラーの設置に関する認識が不足しがち。十分確認を取らないと、後日、消防設備の点検などで面倒なことになります」
●3 楽器のレッスンはトラブルになりやすいので管理組合に確認を
「生徒さんが定期的にレッスンを受けにくるような教室はトラブルになりやすいです」。なぜならマンションは居住用であって商業用ではないから。「楽器の場合は音の問題もありますが、駐輪場やエレベーターも生徒たちが使えば商業利用になってしまう。住人は住むために管理費を払っているので、そこはすごく厳しいです」
●4 コロナ禍で騒音トラブルは激増。「お互いさま」の気持ちを大切に
「最近の相談で多いのは、コロナ禍で在宅率が上がり、生活音が気になりだしたパターン。楽器の音も同じで、今まで大丈夫だったのに、急に問題になったりしています」。ではどうしたらいい?「集合住宅の場合、お互いさまと思えるかどうかがカギ。多少親交のあるお宅から聞こえる音は、不思議と騒音に感じないものです」
【vol.2-①】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE1:Kさん/音楽愛好家編)
【vol.2-②】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE2:Sさん/コントラバス奏者・講師編)
【vol.2-③】マンションでの楽器演奏どうしてる?(CASE3:Tさん/チェロ奏者・講師編)
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