満足度◎!玄関土間、パントリー、WICのつくり方 ブルースタジオ石井さんに聞いてみました

リノベーション・ゼミナール

マンションリノベーションにおいて、成否を大きく左右するのが、玄関土間、パントリー、WIC(ウォークインクロゼット)の「3種の神器」とも呼ぶべき3つの空間。 これらのスペースをつくる際、成功させる秘訣は?
ブルースタジオの石井さんにお話しを伺いました。

「リライフプラス Vol.41」掲載

text Maki Okada

ブルースタジオ 執行役員 石井健さん

1998年のブルースタジオの設立から、リノベーションの先駆者として新たな価値観や型にはまらないデザインに注目を集め続ける建築家。多くのイベント登壇や書籍・ウェブメディアでの執筆を手がけ、現場からみえる住まいづくりやリノベーションの情報を発信している。

玄関土間 (Doma)

マンションリノベーションの事例でよく目にするのが、多目的に使える玄関土間。広い土間をつくるメリットや、成功のコツ、活用の方法などを教えてもらいました

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Doma

Q. マンションに玄関土間をつくるメリットはなんですか?

A. 既成の住宅にはない広い空間(=土間)をつくっておくことで、「効率のいい空間の使い方ができる」という点が最大のメリットです。住まいを購入するときに、広さや部屋数などにこだわる人は多いと思います。
しかし、「将来を考えて子ども部屋を用意したけど、今は物置になっている」というのはよくある話ですよね。例えば、「今はアウトドアリビングとして使って、将来は個室にする」など、玄関土間は、時間やライフスタイルの変化によってカスタマイズがしやすい場といえます。

Q. リノベーションで玄関土間をつくる際の成功のコツを教えてください

A. 玄関スペースはなるべく大きくつくることがポイント。玄関を入ってすぐの空間が広がっていると、脳の空間認識力に作用して、住まい全体が広々と感じられます。特にマンションは面積が限られているからこそ、水平方向に広くしてあげるだけでも効果があります。

Q. 玄関土間をどう使ったらいいか分からないのですが…。

A. ガレージにしたり、アウトドアリビングにしたり、その人の暮らし方によって様々です。中には土間の中にワークスペースをつくる人もいれば、トレーニングルームとして使っている人もいます。玄関をひとつの空間として捉えて、自由に考えてみてください。

Q. 素材や仕様などは、どのように決めていけばいいですか?

A. まず、「その空間が何のためのものなのか」を考えてください。一生使うものなのか、期間限定で楽しむ場なのか…。目的が決まってくると、「素材は?」「段差をつけるのか?」あるいは、「コンセントをどうするか?」など、細かい部分が自然と決まってくはずです。

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パントリー (Pantry)

食品ストックや家電などを収納するパントリー。使い勝手を良くする具体的なアイデアについても伺いました

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Pantry

Q. マンションリノベでパントリーをつくるメリットはなんですか?

A. キッチンの近くにパントリーをつくることで、無理のない収納ができる点がメリットです。収納が苦手な人でも、家電やストック食品をざっくり収納できるので、最近は希望する方が増えています。家電を見せたくないという人にもオススメです。また、冷蔵庫をパントリーに置きたいという人も増えてきました。
また、造作収納と比較すると、ローコストというメリットもあります。オーダーキッチンにしたい場合も、パントリーで収納を解決させることで、キッチンの形や素材にこだわることもできますし、コスト面の課題解決につながる場合もあります。

Q. 使い勝手のいいパントリーをつくるためのポイントを教えてください

A. パントリーは頻繁に出入りしますし、整理をする頻度が高い場所です。正面(間口から見える位置)には見せたいもの、サイド(見えない位置)には、見せたくないものと、場所を使い分けるといいでしょう。間取りによって、どうしてもリビングから見えてしまったり、使い分けができない場合は、入り口にカーテンをつけるのも方法のひとつです。スペースに余裕があればスイングドアを設置するなどのアイデアもあります。

Q. パントリーはどのくらいの広さがあると使いやすいですか?

A. リノベーションの事例では、一般的に1.5~2畳くらいが多い印象です。幅と奥行きのバランス次第ですが、最低でも1畳弱はあった方がいいでしょう。何を収納するのか、ものの選別を考えることも必要です。パントリーとサニタリーを合体してウォークスルーにするという方法もあります。家事タスクを1か所にまとめて、目的に合わせたスペース配分を考えることで、家事を効率化できます。

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ウォークインクロゼット (WIC)

衣類をまとめて収納でき管理がしやすいウォークインクロゼット。その魅力や活用の方法について伺いました

リライフプラス 玄関土間、パントリー、WICのつくり方 ブルースタジオ ウォークインクローゼット

Walk in Closet

Q. ウォークインクロゼットをつくるメリットを教えてください

A. WICはコスト面と、一か所に集約することで効率化できるという点がメリットです。
片付けが苦手な人は、「どこに収納したらいいかわからない」という方が大半。そういう方はウォークインクロゼットで収納をまとめるといいと思います。最近では、単にクロゼットとして使うのではなく、ひとつの居室として、収納+αの用途で使いたいという人も増えています。

Q. ウォークインクロゼットって使いこなすのが難しそうなイメージがあるのですが…

A. タテの空間をうまく生かすと、効率的に収納量を増やすことができます。例えば、洋服が好きで、持っているアイテム数も多い人は、ハンガーパイプを二列に。高さをずらして段違いに設置すると、たくさん収納できます。持っている物、収納する物を考えながら、スペースを立体的にイメージしてみましょう。

Q. ウォークインクロゼットの風通しや採光が気になります

A. ウォークインクロゼットの通風や採光対策として、室内窓をつけることが多いです。室内窓がつけられない場合は、換気ファンなどで空気の流れをつくることもあります。

Q. ウォークスルータイプにする場合に気を付けることはありますか?

A. 人気のウォークスルータイプのクロゼット。使い勝手が良い収納にするポイントは、隣接する空間に合わせて収納内部のゾーニングを決めておくことです。
例えば、一方が玄関土間、もう一方がLDKにつながる間取りの場合、「屋外で使うアイテム」と「LDKで使うアイテム」が一か所に集まるため、収納内部がごちゃついてしまう可能性が。設計時にスペースを分けておけば安心です。

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マンションリノベ「3種の神器」気をつけるべき点とは?

最後に3種の神器をはじめ、リノベーションを成功させる必要な考え方や気を付けることなどを石井さんに語っていただきました

1 リノベの前提はライフスタイルに合わせて住まいをつくること。暮らしの変化に合わせて、ストレスなく、カスタマイズしていくことが大事。

2 「今必要なのか?」、「将来はどうなのか?」。時間軸で必要性の有無を考えていくと、もっと自由な発想でリノベーションができます。

3 玄関土間、パントリー、ウォークインクロゼットなどをつくる=空間を効率化すること。
何をどこに収納したいのかを考えよう。

4 1空間=1用途ではない。特定の機能のために専有しているスペースが、自分(家族)のためのスペースになっているかを考えましょう。

5 広さは、空間の広さそのものだけでなく、視覚的効果や脳の働きよって感じる部分もあります。そのへんを理解している会社に依頼をしましょう。

常識にとらわれ過ぎず自由な発想でリノベーションを楽しみましょう!(石井さん)

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