リノベーション前提で考える中古戸建て|物件・構造の見極め方

リノベーション・ゼミナール

物件を買った後に「失敗した!」とならないために、中古物件で気をつけて見てほしい9つのチェックポイントや、住宅の構造によって、希望するリノベーションが難しくなる可能性がある場合について解説します。

“中古戸建てを買ってリノベーション”を考える時に知っておきたい知識や秘訣を、住宅業界の経験が豊富なリノベりすのアドバイザー 竹村に聞いてみました。

リノベりすアドバイザー 竹村

大手リフォーム会社とリノベーション会社で実務を経験し、リノベりすアドバイザーに。業界の知見とその経験を生かし、家づくりを検討するユーザーの様々な相談に応えています。

リノベーション前提の中古物件は、9つのポイントをチェック!

―― 買ってしまってから「失敗した!」とならないために、中古物件の見極め方を教えてください。

リノベりすアドバイザー 竹村

チェックポイントとして、下記の9つを挙げたいと思います。
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① 築年数
② 建物の構造
③ 建築確認申請時の図面の有無
④ 再建築不可物件に該当しないか、土地に借地権はついていないか
⑤ 建物の基礎の状態
⑥ 雨漏りがないか
⑦ 建物の傾き
⑧ 配管の状態
⑨ 耐震性や断熱に適切な施工がなされているか
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それぞれについて、なぜ気をつけるべきかを見ていきましょう。

① 築年数:
築年数で見極める大きな基準として、1981年6月に設けられた「新耐震基準」があります。これより前に建てられた住宅は「旧耐震基準」に基づいて建てられており、震度5以上の大きな地震があった際、損傷もしくは倒壊などの可能性が否定できないとされています。

旧耐震基準物件の場合、耐震性を考慮した補強が必要になる可能性が高く、建物の担保評価が難しいため銀行によってはローンが通りにくいとも言われています。


② 建物の構造:
後述しますが、間取り変更を希望しても建物の構造によっては抜けない壁があったり、玄関の大きさや数、サッシの大きさなどを変更できないケースもあります。また、そういった物件の相談ができるリノベーション会社は限られてきます。

③ 建築確認申請時の図面有無:
築年数を経た物件には、建築確認申請後の完了検査を行っていない物件や、申請図面通り工事が行われていない違法建築も存在します。そうした物件の場合、本当に図面通りに工事がなされているかの確証が得られないため、耐震性に不安がある場合も。

検査済証や竣工時(または引き渡し時)の図面があれば、リノベーションを行う会社にも詳しい状況が分かり、プランや正確な見積りを立てやすくなる利点もあるため、図面の有無を確認し、なるべく入手しましょう。

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④ 再建築不可物件に該当しないか、土地に借地権はついていないか:
自己資金で購入・リノベーションを行う場合は問題にならない事柄ですが、住宅ローンを予定している場合は要注意。ローンが組めない、あるいは組める金額が低くなる可能性があります。銀行でローンを組む場合、土地や建物の担保価値が問われるのですが、これらの物件は通常よりも資産価値が低いと判断される傾向にあるためです。

⑤ ~ ⑨:
これらはリノベーションで間取りやデザインの変更を考える以前に、補修や対策を行う必要があるため、その分の費用が余分に発生してしまいかねない項目です。

物件を見る際にリノベーション会社にも同行してもらい、専門家の目でしっかりと状態を確認してもらったり、同行が難しい場合は、有料になりますが別途ホームインスペクション(住宅診断)を依頼したりすると安心です。リノベーション会社によっては、ホームインスペクションの資格を持つ担当者が在籍しているケースもあります。

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また、万が一購入後に建物のゆがみや雨漏りなど、見えない部分の欠陥に気づいた場合は「売主の瑕疵(かし)担保責任」として修復請求ができます。しかし、売主が不動産会社ではなく個人の場合、瑕疵担保責任を問える期間が短かったり、瑕疵担保責任を負わない、つまり瑕疵担保責任免責の契約だったりすることもあるため、注意が必要です。

売買契約の際は必ず取り決め内容や瑕疵が発生した場合の対応内容や期間などを確認のうえ、重要事項説明や契約書に記載してもらい、その期間内に瑕疵を発見・請求するようにしましょう。

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リノベーションで気をつけたい建物の構造は?

―― 上記「中古物件の見極め方」でも挙がった建物の構造について、リノベーションを前提とする場合に気をつけた方が良い点を教えてください。

リノベりすアドバイザー 竹村

住宅の構造によって、希望する工事が難しい場合もありますので、物件を見に行く前に、リノベーションで希望する間取りなどをあらかじめイメージしておくと良いでしょう。工法についても、以下のようにたくさんの種類があります。

① 木造の軸組工法(在来工法):
間取り変更や開口部調整の自由度が高い工法です。補強計画など、将来的に既存の耐震性より悪化しないための工事を行う必要があります。

②2×4(ツーバイフォー):
天井・床・壁4面の計6面で箱状の空間をつくり安定させるタイプの工法で、高い耐震性が特徴です。しかしすべての面で構造を支えるため、安易に壁を壊したり抜いたりすることが難しい工法でもあります。そのため間取りを大きく変えたくても、変更が難しい可能性があります。

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③ 鉄骨造:
軽量鉄骨と重量鉄骨がありますが、どちらも外壁面と1階・2階の天井面は鉄骨で組まれています。 それぞれがガッチリと溶接やボルトで留められているので、鉄骨を抜いたり補強を行ったりといった構造計算の難易度が木造に比べて高く、請け負えるリノベーション会社が限られています。下手に抜いてしまうと、全体の強度に不安が出てしまう場合もありますね。具体的に言うと

・窓やサッシの大きさを拡大したい
・玄関ドアの位置を変えたり、増やしたりしたい

……といったリノベーションへの影響が考えられますので、これらをどうしても希望する場合は、その家を建てたメーカーに依頼した方が安全でしょう。「玄関ドアを増やしたい」というご要望は、2世帯住宅に変更して住まわれる場合によく聞かれますが、鉄骨造の建物の場合は安全性を担保するため、外のドアは1つのままにして、玄関を入った先を2つのドアで分ける方法をとることもあります。

一方で、鉄骨造の場合、内部の壁は木でつくられていることが多く、間取りを柔軟に変えられるケースがほとんどです。まれに「スケルトンにしてみたら、内部の壁にも鉄骨や鉄のブレース(強度を上げるために柱と柱の間に斜めに設置する線状の建材)が入っていたという場合もありますが、そんな時はそれを逆手に取り、デザインのアクセントとして、あえて鉄骨やブレースを見せるデザインにすることも。

③ 混構造:
住居の場合、木造と鉄骨造、木造と鉄筋コンクリート造が混ざっている場合が多いです。よくみられる例として、1階を駐車場スペースとして鉄骨造でつくり、2階以上を居住空間として木造でつくる物件があります。こうした場合、双方のバランスを考えた構造計算が必要となるため、1階の構造に配慮せず居住空間だけ変えてしまうと、大きな地震の際などに心配な状態となってしまいます。

混構造のリノベーションができる会社は非常に限られるため、もとの住宅を建てたメーカーに依頼するか、混構造の構造計算に慣れている建築家や設計・施工会社を探して依頼するようにしましょう。

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④ RC造:
マンションでも多く見られる鉄筋コンクリート造の戸建てです。外壁、天井、屋根部分がコンクリートで作られているため、コンクリート躯体の部分が抜けません。鉄骨造同様、室内の壁は木でできていることが多く、壁式構造(壁の面で建物を支える構造)でなければ内部の壁は抜くことができるため、間取り変更は可能です。

自分がどのようなリノベーションをしたいか、特に家づくりの目的となる条件について明確にしたうえで、適切な構造の物件を選択したり、頼れるリノベーション会社を見つけるようにしましょう。

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今回のまとめ

リノベりすアドバイザー 竹村

チェックすべき項目の中には、一般の方には判別しにくいものもあります。また、どのようなリノベーションをしたいかによって、その物件がマッチするかどうかが変わりますし、依頼する家づくりの専門家によって、希望する工事の可否が違ってくることも。

まずは「新しい家づくりの目的は何か」「希望する間取りはどのようなもので、どの部分を広く取りたいか」「譲れることと譲れないこと」などをイメージしておきましょう。それを依頼する家づくりの専門家とも共有し、それを叶えるための物件の条件を確認しておくことをお勧めします。

また、家を見に行くときは家づくりの専門家、もしくはホームインスペクション(住宅診断)の会社と一緒に見に行くことが望ましいです。希望するリノベーションを前提とした物件探しからリノベーションまで、ワンストップで手掛ける専門家もいます。

物件選びを失敗すると、希望するリノベーションができなかったり、予定外の出費が掛かってしまったり、と残念な結果に……。物件探しにより先に、頼りになる家づくりの専門家を見つけ、相談しながらご希望とマッチする物件を見つけてください。

こちらの記事は、下記一部の内容を転載しております
初回掲載日:2020年2月

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