21/04/21 10:00 投稿
住まいづくりの専門家に教わる「快適!ペットリノベ」(dog編)
リノベーション・ゼミナール
安全や健康面にも配慮しながら、愛犬や愛猫がのびのびと過ごせる住環境をつくるコツは、ペットが持つ習性を生かしながら計画すること。大切な家族である犬や猫とともに快適に暮らせるリノベのヒントを一級建築士の前田敦さんに聞きました。
後編の、住まいづくりの専門家に教わる「快適!ペットリノベ」(cat編)をみる
text:Maki Okada
「リライフプラス Vol.39」掲載

前田敦計画工房 一級建築士 前田敦さん
1. 愛犬とのコミュニケーションの基本 目線が合う高さにリノベ
リノベをする際に考えてほしいのは、愛犬とのコミュニケーションの場。コミュニケーションの基本は、ズバリ目線。愛犬と目線の高さが合う場所をつくっておくと、コミュニケーションが取りやすくなります。
戸建ての場合はスロープをつくることもありますが、マンションリノベの場合はスキップフロアにするという手も。スキップフロアの段差をうまく使えば、人からだけでなく、愛犬が近づくだけで目線の高さが合うので、愛犬とのコミュニケーションの質がグッと高まります。
2. 防音対策は内窓リノベがベスト!人もペットも安心です
愛犬の鳴き声が近隣の迷惑にならないか、気になる人も多いはず。マンションの場合、容易にサッシそのものを交換することができないので、防音対策には、内装工事として施工できる内窓がベスト。犬の鳴き声が近隣に漏れることを防ぐだけでなく、車などの外からの音も遮断できるので、犬にとってもストレスフリーな環境をつくることができます。
併せて壁に断熱材を入れることもおススメします。断熱材のロックウールは音も吸収してくれるので、断熱&防音対策になります。
3. 理想の床材=カーペットタイル カットパイルの毛先を選ぶのが◎
愛犬のために、床材は滑りにくくて水濡れに強いものを選びたいもの。ペット対応のフローリングやコーティング材もありますが、土足でもOKなカーペットタイルなら、床が汚れた場合でもその部分だけ取り替えて水洗いできるので便利です。なかでも毛先がカットされているカットパイルがおすすめ。同じパイル地でも、ループタイルは愛犬が爪をひっかけてしまうのでNG。
インターネットやホームセンターなどで購入できるものもあり、種類やデザインも豊富。既存の床に置くだけで大丈夫なので賃貸住宅でも使えます。
4. 壁材の工夫+空気の流れでにおい対策も万全に
リノベで愛犬のスペースを検討する際には、室内の空気の流れを考えて場所を決めるとにおい対策になります。犬の生活空間→寝る場所→トイレの順に空気が流れていくようにスペースをつくってあげるのが理想です。
併せて、珪藻土やシリカライムなど消臭効果のある塗り壁材を使えば、におい対策はほぼ万全。塗り壁材は天井に塗るのがいちばん効果的ですが、腰壁など部分的に使うだけでもかなりにおいを軽減できます。シリカライムは固まると石になるので、犬と猫両方を飼っている人には猫の爪とぎ対策としてもオススメです。
5. 愛犬用の個室をリノベで造作 天井高は愛犬の目線の1.5倍がベスト
リノベで愛犬用の個室をつくるならば、愛犬が安心・安全と感じられる守られた空間にしてあげましょう。犬は睡眠や排泄時など無防備になるときは、周りが囲まれた空間のほうが落ち着きます。ポイントは天井の高さ。犬の目線の1.5倍くらいのやや低めがオススメです。スキップフロアの下部分を犬専用のスペースにするお宅も多いようです。
また、犬はキレイ好きなうえに、汚物が近くにあると本能的にほかの動物に狙われやすいと感じる習性があるので、トイレは個室と離して別の場所に設置するといいでしょう。
6. トイレや居室に犬扉 ストレスフリーな暮らしを
犬は自分で扉を開けることが困難なので、室内の建具が愛犬の行動を制限してしまうこともあります。そういうときにはペットドアがオススメ。猫を飼っている家でよく見られますが、犬にとってもいいアイテムです。普段愛犬が生活している場所とトイレがある場所に自由に出入りができるように扉をつくってあげれば、愛犬もストレスフリー。人間用のトイレの横に犬用のトイレを置いて、トイレの扉にペットドアをつけてあげるという例もあります。
ペットドアを取り付ければ、人がドアの開け閉めをする手間も減り、冷暖房効率の面でもメリットがあります。
7. スキップフロア造作のポイント 踏み板を長く、傾斜を緩やかに
スキップフロアをつくるときに注意したいのが、階段の踏み面の広さと蹴上げの高さ。人にとっても犬にとっても歩きやすさに関わる重要な点です。
人が普通に昇降できるような階段でも、犬にとっては傾斜が大きすぎ、背中が曲がってヘルニアになってしまう可能性も。ポイントは、愛犬が階段を上り下りするときに、背中を曲げないで昇降できること。特に下りるときにも注意してください。犬種によって異なりますが、踏み面の奥行きを30cm程度くらいにして傾斜が緩やかになるようにしましょう。
8. 玄関を土間仕様にリノベ 散歩後のお手入れにも便利
玄関に足洗い場があると便利ですが、戸建てと違ってマンションでは難しいのが現実。玄関を土間仕様にしておけば、人にも愛犬にも快適です。
毎日の散歩の準備や帰宅後に足を拭いたり、足の間に挟まった土を取り除くときなども広い玄関土間があればとても便利です。雨の日の散歩のあと、玄関が汚れても、サッと掃除ができるというメリットもあります。リードなど散歩に必要なものの収納や、小型犬ならペットカートを収納する場としても活用できます。
ワンちゃんネコちゃんリノベColumn!
「リノベでの注意点」「環境づくりなど」犬&猫に共通するアドバイスを前田さんに伺いました。
その①「リノベ後の新しい環境にスムーズに適応するための工夫も忘れずに」
人もペットも新しい環境に慣れるのには時間がかかるもの。ペットたちがストレスを感じると行動が変わっていくことも。ベッドやブランケットなど、使い慣れたものは引き続き使用しましょう。
ペットは今までと同じにおいに安心するので、新居にスムーズに適応するきっかけになります。リノベ後も、ペットたちの様子を見ながらカスタマイズしていくことも大切です。
その②「間取りを決める際に(人&ペットの)生活空間をしっかり区別することが大事です」
リノベーションで間取りを決めるとき、犬猫共通で考えなくてはならないのが、ペットの行動範囲。安全面からも人とペットの生活空間をしっかり分けることが大切です。
キッチンなどの危険を伴う場所には扉やゲートを設けて自由に出入りができないようにする、食品庫は折り戸にしてペットが扉を開けられないようにする、などの工夫は必要です。
リノベりすでは、多くの「ペットと暮らす」事例をご覧いただけます。大切な家族の一員であるペット。ペットに配慮した建材や家具など、生活をともにするペットの行動や好みを考慮した空間を望む飼い主は珍しくありません。これらのニーズに応えて、人間にとって、また動物にとっても快適な空間を設計する設計事務所やリノベーション会社も増えています。
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