住まいづくりの専門家に教わる「快適!ペットリノベ」(cat編)

リノベーション・ゼミナール

安全や健康面にも配慮しながら、愛犬や愛猫がのびのびと過ごせる住環境をつくるコツは、ペットが持つ習性を生かしながら計画すること。大切な家族である犬や猫とともに快適に暮らせるリノベのヒントを一級建築士の前田敦さんに聞きました。

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text:Maki Oakada

「リライフプラス Vol.39」掲載

リライフプラス 快適!ペットリノベ dog編 前田敦計画工房

前田敦計画工房 一級建築士 前田敦さん

「ペット共生住宅」に特化した住宅建築に力を入れ、その分野での設計・講演・執筆・監修などの活動を通じて質の高い「愛犬家・愛猫家住宅」の普及に従事。 また、大手不動産会社との連携により、「土地・建物探し」なども設計者という立場でクライアントをサポート。新築はもちろんリノベーションにおいても積極的に取り組んでいる。

1. 猫に必須のパーソナルスペース 高い位置に居場所をつくる

猫にとって快適なのは、家の中を飽きずに自由に動き回れることと、誰にも邪魔されないパーソナルスペースがあること。キャットウォークやキャットステップなどで高い場所に居場所を設けるのがいいでしょう。

運動不足やストレス解消のためにも大切です。窓より少し上の180cmほどの位置にあると、家族の存在を感じながら見下ろせる程よい距離間が保てる場所として有効。
猫を複数飼っている場合は、それぞれの力関係があるので、居場所を何か所もつくってあげて、弱い猫にストレスがかからないようにしましょう。

リライフプラス 快適!ペットリノベ cat編 キャットウォーク

立体的に交差するキャットウォーク

2. キャットウォークの素材 おすすめは滑りにくい無垢の集成材

キャットウォークやキャットステップは、滑りにくい材質でつくりましょう。猫は物をかじるのが好きなので、あまりやわらかい木材だと傷がつきやすくなります。無垢の集成材なら強度や安定性もあってオススメです。

また、キャットウォークやキャットステップは猫が飛び乗ったり動き回ったりするので、かなりの負荷がかかります。ある程度の強度を保つためにも、躯体の中に下地をつくってたわみを防ぐなど、取り付けの方法も注意したいポイントです。

リライフプラス 快適!ペットリノベ cat編 キャットステップ

2方向からアプローチできる配置のキャットステップ

3. リノベでキャットウォークを造作 ポイントは立体的な回遊動線

1匹の猫が通れる幅は約15cmですが、複数の猫がいる場合はすれ違うことも考慮して35cmほどの幅があるといいでしょう。

実は猫は犬より縄張り意識が強い生き物。弱い猫が強い猫に追いやられて、身動きが取れないストレスで高い所から落ちてしまうこともあります。これを回避するために動線は必ず2方向につくること。また、上り下りできる場所をつくって立体的な回遊動線にすることがポイントです。
猫は年を取るとジャンプ力も衰えます。キャットステップは足をついたまま上れる高さ(約35cm)がベターです。

4. リノベの際に選びたい 人&猫が快適に暮らせる床材

基本的には犬と一緒で、汚れた部分だけ取り替えることができるカットパイルのカーペットタイルがベスト。肉球が滑りにくい素材のものを選んであげましょう。入手しやすい素材ですが、候補となるカーペットは必ずサンプルを取り寄せて、実際に試させると失敗がありません。
爪に引っかからないか、歩きにくくないかなど、どれが愛猫に合うかをしっかりチェックしながら決めていくといいでしょう。

5. リノベした空間に合わせておしゃれな猫用トイレもアリ?

プラスチック製の猫用トイレはリノベした空間に合わないし、いちばん置き場所に困るものかもしれません。
始末するときの効率のよさやにおいの面から、人間用の洗面室やトイレに置くケースも多いようですが、空間に合わせて造作家具や収納をつくりその中にトイレを置くというのも一案です。トイレに猫が自由に出入りできるように、家具の扉の一部にペットドアを設ければ、表から見えないので、人も猫もストレスなく暮らせます。

リライフプラス 快適!ペットリノベ cat編 猫用トイレ

人間用トイレと猫のトイレを同じスペースに配置

6. 寒がりの猫のためにも断熱対策は徹底しよう

個体差はありますが猫はとっても寒がり。特に寒さが厳しい冬場は、風邪をひいたりおなかを壊したりしないためにも、温度管理が大切になってきます。冬場でも愛猫がストレスなく快適に過ごせるように、24時間エアコンをつけっぱなしにする人も。リノベをする際には、断熱材や内窓などで断熱対策を徹底しましょう。
寒さを軽減できるだけでなく、エネルギー効率の面を考えても、リノベをする際の断熱対策はマストといえます。

リライフプラス 快適!ペットリノベ cat編 断熱対策

手すり壁の上は猫が好む生活動線

7. リノベで造作する「猫扉」 愛猫の行動範囲をよく考えて

猫用のペットドアをつける際にまず考えたいのが愛猫の行動範囲。人も猫もお互いに快適に暮らせるように、「完全に自由に動き回れるエリア」「人と一緒だったら比較的自由に動けるエリア」「入られると困るエリア」の3つを検討しましょう。

猫用の扉をつけるなら、自由に動き回っていい場所のみに限定。和室や貴重品を保管している部屋など、猫が入ると困る場所には、間仕切りを設けて自由に出入りできないようにしておきましょう。

リライフプラス 快適!ペットリノベ cat編 手すり

飼い主との目線が近いこの場所がお気に入り

8. 猫は窓が大好き!マンションリノベの際の注意点

猫は窓から外を見るのが大好き。キャットウォークやキャットステップをつくる際には、窓にアプローチできる場所をつくってあげるといいでしょう。

戸建ての場合は、外を眺められる猫窓をつくるという手もありますが、マンションの場合新しく窓を設けることはできないので、外を眺められるような位置や高さにキャットウォークをつくる、といった工夫をしてみましょう。窓から外へ逃げ出さないように、安全面への配慮も忘れずに。

ワンちゃんネコちゃんリノベColumn!

「リノベでの注意点」「環境づくりなど」犬&猫に共通するアドバイスを前田さんに伺いました。

その①「リノベ後の新しい環境にスムーズに適応するための工夫も忘れずに」

人もペットも新しい環境に慣れるのには時間がかかるもの。ペットたちがストレスを感じると行動が変わっていくことも。ベッドやブランケットなど、使い慣れたものは引き続き使用しましょう。
ペットは今までと同じにおいに安心するので、新居にスムーズに適応するきっかけになります。リノベ後も、ペットたちの様子を見ながらカスタマイズしていくことも大切です。

その②「間取りを決める際に(人&ペットの)生活空間をしっかり区別することが大事です」

リノベーションで間取りを決めるとき、犬猫共通で考えなくてはならないのが、ペットの行動範囲。安全面からも人とペットの生活空間をしっかり分けることが大切です。
キッチンなどの危険を伴う場所には扉やゲートを設けて自由に出入りができないようにする、食品庫は折り戸にしてペットが扉を開けられないようにする、などの工夫は必要です。

リノベりすでは、多くの「ペットと暮らす」事例をご覧いただけます。大切な家族の一員であるペット。ペットに配慮した建材や家具など、生活をともにするペットの行動や好みを考慮した空間を望む飼い主は珍しくありません。これらのニーズに応えて、人間にとって、また動物にとっても快適な空間を設計する設計事務所やリノベーション会社も増えています。

 
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