動かせないなら活かしちゃおう。「壁」や「梁」をデザインに上手に取り入れたリノベーション

リノベのトレンド

マンションのリノベーションでほぼ必ず問題になるのが動かせない「壁」や「梁」。今までは間取りの変更に致命的なハンディとなるこれらの問題はリノベーションでは敬遠されてきましたが、最近では、それらを克服して理想の住まいを手に入れた事例も増えてきています。今回は、見事なデザイン力によって素敵な住まいを作りあげた事例をポイントに分けてみていきたいと思います。

1.構造壁×ガラスの建具 視覚的な広がりを確保

立地や眺望を気に入ってヴィンテージマンションを購入されたご夫妻。十分な広さはあるものの、構造壁の多い室内は暗く、せっかくの広さや眺望のよさを生かしきれていない状況でした。さらに、北側にまとめられた水回りは日中でも電気を点けなくてはならないほど、ほとんど光が入りません。そんな室内を明るく開放的な空間にしたいという難題を解決に導いたのが、ガラスを使用した建具。構造壁は残るものの、間仕切りを透明なガラスにすることで、寝室、リビング、洋室を視覚的につなげ、広々とした空間を実現しています。
さらにキッチンの背面に設けた引き違いの室内窓は、リビングから玄関、そして水回りまで光を届けます。室内窓越しの見通しを遮らないよう、キッチンは全てカウンターまでの高さに収め、家電や食器の収納も出来るように綿密にデザインするこだわりぶり。
制約の多い構造壁式のマンションでも、ここまで快適で美しい住まいが作れるという見事な事例です。

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壁式構造のマンションでも叶う モルタル床に光を取りいれた、素材を楽しむ上質リノベーション


東京リノベ

床の素材をモルタルで統一し、間仕切りにガラスを上手く取り込んだことで構造壁が残っても広がりのある空間を実現しています。

キッチンの背面に室内窓を設置し、北側の水回りにも掃き出し窓からの光が届くように。引き違いの窓を採用したので風も気持ちよく通りぬけます。

 
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2.梁×キャットウォーク 人も猫も喜ぶアイデア

眺望を楽しめるようにリノベーションされたこちらの事例。梁型が目立つのが気になっていましたが、そこになんと、キャットウォークを取り付けることで見事にデザインに取り込むことに成功しています。さらにリビングの壁には同素材で猫階段も設置。シンプルなインテリアの程よいアクセントとなりました。
ダイニングスペースの壁には造作で黒板扉が印象的な収納棚を作り付けています。こちらも実は梁の存在を消すための工夫。まるでもとから希望があって生まれたアイデアのようにインテリアに溶け込んでいます。
動かすことのできない梁の存在を逆手にとって猫にも人にも楽しい工夫が詰まったワザありのリノベーションとなりました。

眺望の良さと暮らしやすさが魅力。インナーテラスのある家


株式会社エキップ

梁を利用して張り巡らされたキャットウォーク。白い壁天井に木目の板がリズミカルな印象を与えます。

ダイニング壁面の収納の扉には黒板塗装を施してあります。この壁面収納とキッチンのステンレスの壁は梁型を目立たなくする役割も。

 
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3.構造壁×造作家具 収納家具を取り込み空間に広がりを

ミニマムな印象のこちらの事例。60㎡弱とコンパクトな空間を最大限に広く大きく使いたいという施主様の希望を叶えるため、天井や壁の仕上げは取り払い、既存の躯体が持つ素材感や形状を生かしたリノベーションとなりました。
その一方で、建物の柱や梁によって生み出してしまう凸凹は設計に取り込み、造作で収納棚を作るなど、空間を無駄にしない工夫も。壁をフラットにすることで視覚的にもスッキリとした空間を生み出しました。さらに、普通であればリビングに置きたい収納棚も既に作りつけてあるので家具を置く必要がなくなり、より広がりを感じさせるメリットも。
また、躯体現しにしたことでむき出しになってしまう配管や配線を隠すため、キッチンスペースの天井にはルーバーをとりつけました。コンクリート現しの無機質な空間にルーバーと収納棚のラフな木の素材感が加わることでより居心地のいい空間に仕上がっています。

既存を活かした無駄のない住まい。つながりが生むゆとりの空間


Tsudou Design Studio(ツドウデザインスタジオ)

壁の凹凸に合わせて作られたオリジナルの収納棚。造作ならではのジャストなサイズで空間に無駄をつくりません。

各部屋へのドアもすべて引き戸にすることで開閉時必要となる面積をなくすと同時に見た目もフラットになりスッキリとした印象に。

 

4.梁×コンクリート現し 素材そのものを活かし空間のアクセントに

無垢のフローリングと白い天井壁、そしてコンクリート現しの梁と色のトーンを抑えたインテリアがシックなMさん宅。温かな無垢フローリングやウッドパネルと、無機質なコンクリートやステンレスという相反する素材を組み合わせることで、異なる素材の質感を引き立て合っています。
中でも注目なのが梁をコンクリート現しのままにし、空間のアクセントとしている点。全体的にモダンで洗練された空間に無骨な素材感を取り入ることでリノベーションならではの自由なデザインを楽しむことができます。
実はMさんはアパレル会社を経営されています。今回は「インテリックス空間設計×建築家」のサービスを利用し建築家がデザインを手掛けていますが、「デザイナーのデザイン案を検討するときに、想像以上の提案が提示された時の感動に通じるところがあった」と言うほど、大満足の仕上がりになりました。

「無垢材×コンクリートの一体感」人の手による物作りの感覚を大切に


インテリックス空間設計

ステンレスのキッチンとコンクリート現しの梁がスマートな印象のLDK。無垢のフローリングやインテリアにも馴染んでいます。

白く明るいバスルームにコンクリートのグレーがアクセント。ちょっとしたデザインが非日常な空間を生み出します。

 
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5.構造壁×木目調パネル インテリアを揃えて高級感を演出

最後にご紹介するのは、ナチュラルでシャビーシックな雰囲気が素敵なNさんのお宅。一見すっきりとした空間に見えますが、実はLDK、キッチン、廊下と3段階の天井高の違いがあります。間取りを変更したときに、天井の段差と位置がずれてしまうため、その納め方に工夫が必要でした。
このリノベーションでは、キッチンをオープンにすることが一つのポイントだったので、垂れ壁などつけることなくキッチンとLDとの天井の段差をすっきりと解消するために天井に木目調のパネルを貼ることに。 キッチンの明るい木目と絶妙にマッチさせた天井パネルは、そのインパクトによって視覚的に天井高の違いをうまく隠すだけでなく、白で調えられたLDの上品なアクセントに仕上がりました。

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約400万円で実現! 建築家とつくりあげた理想のリノベーション空間


+Marchitects(プラスエム・アーキテクツ)

キッチンスペースとダイニングスペースの間仕切りに設けられた袖壁があることで、キッチンに「籠る感」が生まれ、メリハリのあるゾーニングに。

LD部分に比べ約20センチ程天井高を低く設定していますが、明るいトーンの内装によって圧迫感は全くありません。

 
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リノベりす編集部コメント

どの事例もプランニングによって、動かせない壁や梁の存在を抑えたり、逆にいかしたり、物件のデメリットがメリットになっています。デザイナーが住まい手の希望をしっかりと把握しているからこそ、工夫が活きているのがわかりますね。間取りの変更が難しい物件はリノベーションでは敬遠されがちですが、これからは新たな可能性をもった物件として受け入れられていくのかもしれません。

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