無骨な質感自体がアート!既存の風合いを活かした団地リノベーション
錬(れん) (設計・施工)
DATA
間取り図
築27年の団地リノベーション。風合い感じる既存の建具や躯体に残された刻印などはあえて残し、クールで無骨な印象も与えつつ、建物の歴史やぬくもり、過ごしやすさを大切にした住まいが誕生した。
色あせないモノづくりと、新たな価値を生み出すチカラは匠の業
空間のアクセントとして楽しむ、真のヴィンテージ
無骨でスタイリッシュな存在感が印象的なコンクリートの壁。リノベーションでも人気の高い「躯体現し」だが、壁紙を剥がしてみると、その表情は様々だ。壁を現しにしたリビングは、元々和室だった場所。解体前押入れだった場所には、その時の名残でベニヤ板を張っていた糊の跡などが刻印のように残されており、削ぎ落とされた空間の中で、まるでアートのようなアクセントとなっている。
天井はコンクリートに直接白いペンキを塗り、本物の素材感は活かしつつ、明るい雰囲気で圧迫感を軽減。
27年という歴史を刻み、自然な味わいが生まれた木枠のガラス扉もあえてそのまま活かし、無機質な空間にあたたかみを加えている。床はオークの無垢フローリングを採用。建物の歴史や暮らしやすさも大切にした理想的な住まいが完成した。
シンプルな空間だからこそなじむ、ディスプレイ感覚で見せる収納
キッチンの場所はそのままに、設備を最新のものに一新。吊り戸棚は撤去し、換気扇やタイルはすべてホワイトに統一したことで、明るく清潔感あふれる空間に生まれ変わった。頻繁に使用するスパイスや調理道具、お気に入りの鍋などは、所定の位置に飾るように並べられているので、スタイリッシュな印象は損なうことなく、空間に溶け込んでいる。
リビングダイニングの隅に置かれた棚には、ノートパソコンを置いたり、畳んだ服を入れたり。こちらもさりげなくディスプレイのように置かれている。
暮らしのものを見せてもゴチャゴチャとした生活感がないイメージは、アイテムひとつひとつのセンスの良さはもちろん、空間全体の統一感が守られていて、色味や素材にもちゃんと気を配られているから。シンプルな空間だからこそ、施主のライフスタイルに対するまなざしがより強く感じる住まいとなっている。
ビフォー・アフター
MATERIAL
床:オーク無垢材
リノベりす編集部コメント
クールでスタイリッシュな部分と、あたたかみを感じる部分が見事に溶け合ったリノベーション。既存の建具をうまく活かしてバランス良くコーディネートされています。スッキリとシンプルに見せながら、ところどころに遊び心や個性が表れているのも素敵です。味わいある空間の中、無垢フローリングの経年変化も楽しみですね。