騒音と西日を、ぐるりと囲むバッファゾーンで遮る。住宅と都市の「あいだ」をつくりだすリノベプラン
H2DO一級建築士事務所 (設計)
家族が集まるLDKとバッファーゾーンの間仕切り壁は、生活感を感じさせないスタイリッシュなデザイン。外からの視線や日差しを遮りつつ、一室空間を印象的に分けました。
DATA
間取り図
個性や価値観など目に見えないものを大事にした家づくり
パブリックスペースとプライベートスペースを明確に分ける
移住した夫の地元・神戸で、マイホームの取得を考え始めた20代の施主夫妻。H2DO一級建築士事務所に物件探しから相談し、駅や活気のある商店街から近い、理想的なマンションを見つけました。約80㎡の角部屋で、南側は国道が走っているため日当たりは抜群。西側にも開口があり採光良好ですが、騒音や夏場の西日対策が必要でした。
そこでパブリックスペースのリビングダイニングを「住宅と都市の『あいだ』」と位置づけ、南側と西側にバッファーゾーンをつくることに。間仕切り壁には、家族が住まう空間と、都会の景色や喧噪を程よい距離感でつなぐデザインをあしらうことで、光と風がめぐり、広がりと楽しさを獲得しています。北側にある水まわりと寝室のプライベートスペースは、もとの配置を活かしながら極力コンパクトに。造作家具やH2DOオリジナルの「イタカグDIY」キット「コアガリ」を使い、空間を無駄なく活用しました。
ユニークな壁に囲まれたリビングダイニング。採光と目隠しが絶妙バランスの壁で、視線の抜けをつくって開放感のある空間に。食事や仕事、撮影にも使用するテーブルは、リクエストを細かく反映したオリジナルです。
業務用スペックを盛り込んだ、料理人のキッチン
料理人である夫が希望したのは、オーダーでキッチンをつくること。試作することも多いため、供給されている電気やガスの容量を配慮しつつ、可能な限り業務用スペックを組み込んでいます。必要不可欠な音楽制作のスペースは、寝室の一角にワークデスクを造作。インナーサッシと防音仕様の壁をプラスすることで、弦楽器の演奏を可能にしました。また、妻はヨガとストレッチのスペースやリモートワーク対応のワークスペースなどをしっかり確保することで、暮らしをアップデートしています。
「住宅のようで住宅でないような、お店のようでお店でないような、オフィスのようでオフィスでないような、とても良い住空間ができました」と夫妻。住まいながら都市を感じ、家じゅうすべての場所が二人にフィットする、理想の環境を手に入れています。
ソファの隣りに広がっているのが、妻のストレッチスペース。あえて何も置かず、フレキシブルでオープンな空間に。
使いやすさをギュッと凝縮したキッチン。いつでも料理に集中できます。
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LDKの窓に沿って間仕切り壁をぐるりと回し、外と内をつなぐ日差したっぷりのサンルームに。
西側のワークエリア。窓際には縁側のようなスペースをつくり、インナーサッシで断熱・遮熱を高めました。
奥にもうひとつ空間がつながっている楽しさがあります。
サンルームにもデスクを並べて落ち着ける場所に。
カウンターも備え付けた、プロ仕様のこだわりキッチン。
南側のサンルームからワークエリアを眺める。
リビングの夜景。デザインされた壁によって外部からの視線を気にせず、ゆったり過ごせます。
コアガリの上に布団を敷いたベッドルーム。下部の収納には季節外のリネン類や細々した日用品をすっきり収めて。
もともと収納だったスペースは、音楽制作のためのデスクを設置。
ホテルライクな洗面脱衣室の中の、ワークデスク兼ドレッサー。
洗面脱衣室は、清潔感のある白でトータルコーディネート。
グリーンやベージュの自然の色使いに安らぐトイレ空間。
ビフォー・アフター
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リノベりす編集部コメント
外と家の中の中間のようなスペースを設けることで、都市での生活を快適にしていますね。ユニークなデザインの壁が不思議な奥行きを感じさせ、美術館のようにも思いました。