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マンションリノベーション(SOHO)事例

都心で暮らすための機能とアイディアを凝縮

リノベーション事例「都心で暮らすための機能とアイディアを凝縮」

素地のままのカバ無垢材のフローリングと、下地用クロスの上から「青鈍色」の塗装をした壁がうまくマッチしている。スタイリッシュなのにどこかホッとするような空間。右手に見える壁を移動すると書斎スペースが出現する仕組み。ランダムなアクリルの小窓は取り外しも可。

DATA

建築家でもあり、この家の住み手でもある久保和樹さんは、広島の大学を卒業後、地元の設計事務所勤務を経て上京。友人らと共に杉並区内でハウスシェアをして住んでいたが、そのうちの1人が抜けてしまったため、家賃の負担が重くなってしまった。そんなときちょうどオープンハウスをしていたのが現在の家でほぼ即決だったそう。価格は1500万円。2003年に購入し、リノベーションした。

夫婦ふたり暮らしで専有面積が33㎡、約10坪。その数字だけを聞くと、正直、狭いのでは? と思ってしまう人も多いはず。だが、ここは建築家の久保和樹さんの自宅兼事務所。引き戸と可動式家具をうまく組み合わせることによって、様々な可能性を秘めたユニークなワンルーム空間となっている。

10坪でコンパクトに暮らす

たまたま通りかかったオープンハウスでこの物件と出会い、鉄骨造であること、建物の最上階であること、建物の南側が準住居地域であること、など「いろいろな条件がよかったので」ほぼ即決で7年前に購入。入居して6年間は買ったときのままの状態で住んでいたが、昨年満を持してリノベーションした。

「住みながら、どうやってリノベーションしようかずっと考えていました、というとカッコいいけど工事費用が貯まったという理由もあります(笑)」  一見スタイリッシュに見える久保さん宅だが、実は昔の日本の暮らし方がベースになっているという。「昔の日本の家は個室という概念がなく、襖や障子を開け閉めすることで部屋を大きくも小さくも使える。今以上にエコだし柔軟ですよね」

食事をするとき、集中して仕事をするとき、友人が遊びにきたとき、などその時の状況に合わせて引き戸や可動式家具で仕切ることで「機能空間が一時的に出現する仕組み」をつくりたかった、と久保さん。都心でコンパクトに暮らすための機能とアイディアが凝縮された住まいといえるだろう。

●この事例に関するブログはこちら(可動本棚の家 設計施工レポート01~)

【設計:H2DO一級建築士事務所】建築・内装・家具をワンコンセプトで設計・デザイン。クライアント参加型のリノベーションや、ワークショップも人気。

引き戸

写真右のポリカーボネートの引き戸を開けると、ソファ、デスク、ハイカウンターと3通りの使い方ができるユニークで機能的な造作家具が出現。上下に間接照明が仕込んであるので、夜、引き戸を閉めると行灯のようにほんのりと明るい。写真はハイカウンターの時。

引き戸

デスクのときの引き戸。仕事部屋を自由に創造できる。

引き戸

ソファのときの引き戸。収納がリビングスペースになる。

キッチン

床から400㎜ほど高くなっているラウンジジエリアの下には大容量の床下収納が。

玄関

ラウンジエリアの可動式家具を移動するこことで現れる、寝室スペースでもある空間には自作の家具をディスプレイ。手前のスツールを収納して絵画のように楽しむこともできる、アートと家具が融合したような作品だ。

引き戸

すべてを閉めた状態の引き戸。収納としても容量が大きく、利便性が高い。

MATERIAL

床:カバ無垢材、一部タイル
壁、天井:下地用クロスの上から塗装

INSTRUMENTS

キッチン
既存のキッチンにアルミシート貼り
サニタリー
バス、トイレ:既存

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個性や価値観など目に見えないものを大事にした家づくり

中心価格帯

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対応エリア

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