住宅ローン控除期間は繰り上げ返済のメリットがないからしないほうがいい?【家にまつわるお金の話②】

リノベーション・ゼミナール

人生の中でいちばん高い買い物といわれる「家」。購入時はもちろん、その後の住宅ローンや修繕費など出ていくお金は尽きません。そこで、リライフプラス編集部に寄せられたお金に関する疑問について解説します!

※こちらの内容は、2022年9月時点の情報です

「リライフプラスpremium No.2」掲載

edit: noriko sasaki

illustration: abesan

design: machiko hirata

Teacher 丸山晴美さん

​ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。自身の経験をもとにした分かりやすいお金のアドバイスをテレビや雑誌、講演などを通して行っている。『シングルママの「お金に困らない本」』(徳間書店)など著書多数。オンラインサロン「女性のための夢を叶える! お金の教室」も人気。

住宅ローン控除期間は繰り上げ返済のメリットがないからしないほうがいい?(Aさん・30代)

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税制改正により控除のメリット減

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借りて住宅を購入する場合に、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ないほうの金額の決められた割合が10年間(一定条件に該当する場合は13年間)にわたり所得税額から控除されるという制度。

令和3年12月までに入居した場合(令和3年11月30日までに契約した場合は、令和4年12月31日が入居期間)は、控除率が1%、控除期間は10年間(消費税10%適用住宅を購入した場合は13年間)、控除対象となる住宅ローン残高は4000万円でした。例えば、新築住宅を購入して年末の住宅ローン残高が10年間にわたり4000万円以上ある場合、毎年40万円が所得税の額から控除され、所得税額から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除されます。なお、消費税10%が適用される住宅の場合は控除期間が13年間になり、11~13年目の控除額は総額で最大80万円。つまり13年間で最大480万円が控除されていました。

しかし税制改正が行われ、令和4年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した場合、控除率が0.7%に変更になりました。さらに令和4~5年に購入した場合の控除期間は最大13年間、住宅ローン残高は新築住宅かつその他の住宅の場合3000万円、中古住宅の場合は2000万円。令和6〜7年に新築住宅かつその他の住宅を購入した場合の控除期間は10年間、住宅ローン残高は2000万円にと段階的に控除のメリットが小さくなっています。

つまり、前述と同じ条件で住宅を購入した場合、令和4~5年だと13年間で273万円、令和6~7年だと10年間で140万円しか控除されないという結果に。

住宅ローン減税の改正点

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繰り上げ返済で得られるメリットを考えよう

昨年までの条件であれば、確かに繰り上げ返済するメリットが少ないと感じる人も多かったと思います。ただ、控除額が下がってきているので、一概に繰り上げ返済のメリットがないとはいえなくなっています。

住宅ローンの借入金利が全期間固定で1.5%を超えるなど金利が高い人や、借入残高に対して所得が少なく控除しきれない場合は、住宅ローン減税の効果が低いので、繰り上げ返済をしたほうが利息の軽減効果が高い場合も。

また、年金で住宅ローンを払うのはリスクがあります。完済年齢が65歳を超える人は、住宅ローン控除にかかわらず繰り上げ返済をして、65歳までに完済できるように計画しましょう。退職金を住宅ローンの返済に充てる人もいますが、それはおすすめできません。老後の資金に回しましょう。

また、トータルの控除額が下がっているので、次の条件に当てはまる人は繰り上げ返済を検討してみてはいかがでしょうか。

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