動く壁と多機能な小上がりで可変性を。既存の家具や建具もうまく活かした設計士の自邸リノベ
ゼロリノベ (設計・施工)
格子状の天井下地(野縁:のぶち)の状態が良かったため、そのまま利用して光天井(天井全体をひとつの大きな光源として見せる建築照明方式)に。この天井下地は「間取りを可変させるガイドレール」としての役割も兼ねています。
DATA
間取り図
「大人を自由にする住まい」がコンセプト
解体で現れた「野縁」を再利用。光天井と可変間仕切りを支える“美しい骨組み”に
この家でくらすのはゼロリノベで設計士をしている夫、妻、子どもの3人家族。以前は35㎡の賃貸住宅に住んでいて、「子どもが小学校に入学する前には引っ越しを終えたい」と家探しをスタート。住み慣れたエリアの近くで物件を探しましたが、価格的に新築は難しいと判断し、中古マンション+リノベーションを選びました。
テーマは、広く感じられる空間と、柔軟に変更できる間取りの仕組みをつくること。「自分の家だからこそ、既存をうまく活かしながら、まだ取り組んだことがないリノベに挑戦したいという思いもありました」と夫は振り返ります。
解体してみると、天井下地がきれいな状態だったことから、そのまま「光天井」として活用することに。天井解体時に現れた格子状の下地木材(野縁:のぶち)の状態が非常に美しかったことから、通常なら撤去してしまう下地をあえてそのまま残しました。木格子ならではの温もりとヴィンテージ感が空間のアクセントになっています。
格子の上には厚さ1〜2mmほどの半透明な「ワーロンプレート(和紙調アクリル板)」を載せ、その奥にLEDテープライトを端から端まで配置。調光可能な間接光がプレートを通してやわらかく広がり、まるで巨大な障子や行灯のように空間全体を包み込む「光天井」を作り上げました。プレートは下から押し上げるだけで外せるため、将来のLED交換やメンテナンスもしやすくなっています。
さらにこの野縁は、デザインだけでなく「間取りを可変させるガイドレール」としての重要な役割も担っています。天井の格子ピッチに合わせて、上下を点止めした「可動式の間仕切り壁」をぴったりとセットできる仕組みを構築。野縁のワンスパン単位で壁の位置をスライドさせ、背面の収納スペース(クローゼット)の奥行きを広げたり縮めたりできます。将来子どもが大きくなった際には、同じ仕様のパネルを野縁に沿って増設するだけで、簡単に独立した子ども部屋を生み出せるようになっています。
昼はリビング、夜は寝室、時には宴会にも。キャスターで自在に動く収納も兼ねた小上がり畳
ワンルーム空間の中心で、いくつもの役割をこなしているのが畳敷きの小上がりです。底面にキャスターを取り付けて自由に動かせるようにしたことで、52.7㎡の空間に高い柔軟性と広がりをもたらしています。
夜は家族3人が並んで眠る「ベッド」として使い、昼間はリビングの一角に寄せて腰掛けや子どもの遊び場、ゴロンと横になれるくつろぎの場に。来客時にはレイアウトを変えてベンチのように囲むことで、大人数がゆったり座れる宴会スペースへと早変わり。
さらに、畳を持ち上げると内部は大容量の収納になっており、季節ものの寝具や非常用の備蓄品などをすっきりと収められます。限られた面積の中で「寝室・リビング・客間・大型収納」を完結させ、省スペースに大いに貢献しています。
「すごく家事がしやすくなりました。収納の動線が整って物の出し入れがスムーズになりましたし、家のいろいろな場所で仕事ができるのも気に入っています。特に畳の小上がりが定番のくつろぎ場所になっています」と夫。一方妻は「収納が以前の2倍くらいに増えて、家族それぞれの物をしまえる場所ができたので安心しました。子どもも毎日『この家が好き』と言っていて、引っ越してよかったなと感じています」
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リノベりす編集部コメント
天井下地を活用した照明や新旧の素材ミックスが洗練された空間をつくり上げています。将来変えられる間取りの仕組みを準備しておくことで、長く住める安心感もありますね。設計士ならではのアイデアを詰め込んだ個性的な住まいです。