故郷の空気と自然素材に包まれて。深呼吸したくなる戸建てリノベーション
駿河屋 (設計・施工)
DATA
築28年になる戸建て住宅のご購入を決断されたHさん。元々広めの4LDKで、贅沢なつくりの家でしたが、家族がより快適に過ごせるよう、お住まいになる前にリノベーションを行うことに。既存を生かしながら、水回りの設備機器交換やクロス・畳・ふすまの張り替えなど、表装部分も施工。厳選した自然素材を用いてご夫婦の希望である「森林の中にいるような、深呼吸したくなる家」が完成しました。
創業1657年。心と身体と環境にいい家づくりを目指す
故郷の空気やぬくもりを感じながら、ゆったりと住まう
Hさんのおじい様がかつて吉野で林業をされていたということで、今回のリノベーションでは、そのルーツや縁を大切に考え、奈良吉野産の桧を贅沢に使うことにしました。リビング・ダイニングに使用した床材は床暖房対応の吉野産・桧フローリング。自然素材の荏胡麻塗料で仕上げています。うっすらピンク掛った美しい色ツヤや芳しい香りはもちろん、固すぎず柔らかすぎず、さらっとしていながら絶妙な油分を保っているのもこの桧の特徴。通常の床暖房の無垢材は、極度な温度変化による反り返りや伸縮を危惧し、極限まで乾燥させたりプレスを掛け固めたりすることが多いのですが、奈良吉野産のフローリング材は研究を重ね、低温で時間をかける特殊な乾燥処理を施すことによって、程よい質感と油分が保たれているのです。
リビングの天井と壁には北海道稚内産の珪藻土を使用。広い面積に塗っているため、調湿効果が抜群なだけではなく、塗り方によって遊び心も演出しています。少しエッジの効いたコテ波仕上げをベースに、刷毛引きが混ざった箇所も。フラットに仕上げた部分は、プロジェクター上映にもぴったりです。
毎日家族が集まる場所だからこそ素材にこだわり、みんなが快適さを感じられる空間になっています。
自然の力を受け、良質な睡眠に導かれる「和」の寝室
和室は1階と2階にありますが、2階の和室は障子と襖の張り替えにとどめ、今回は主寝室となる1階の和室に力を注ぎました。寝室もリビング同様に長時間過ごす場所なので、空気環境には十分気をつけたいところ。そこでこちらも空気環境改善に大きな力を発揮する北海道稚内産の珪藻土を使用。和室では調湿効果の最も高い含有量80%の珪藻土を選びました。リビングで使われている白色に近い含有率15%の珪藻土とはまた異なり、少し濃いめの色が和室の落ち着いた雰囲気に溶け込んでいます。塗りパターンも、「和」の雰囲気にぴったりの刷毛引き仕上げを選びました。
広縁の床は、静岡天竜産の杉フローリングを採用。この杉は極めて良質の木材になるといわれている「新月伐採(月齢伐採)」「葉枯らし・天然乾燥」という昔ながらの方法で製材されたものです。畳は熊本八代産の畳表を使って表替え。天然泥染めをした完全無農薬のイグサを使って作られています。
北海道稚内産の珪藻土、静岡天竜の杉、熊本八代の畳と、国産の上質な素材を厳選して取り入れた和室は、上品な質感と澄んだ空気感を演出。Hさんご家族も安心して上質な睡眠を得られるようになりました。
ビフォー・アフター
MATERIAL
床:桧(奈良吉野産・床暖房対応/リビングダイニング)、杉(静岡天竜産/和室広縁)、姫小松(南会津産/ロフト)、畳(熊本八代産の畳表/和室)
壁:珪藻土(北海道稚内産・含有率15%/リビングダイニング)、珪藻土(北海道稚内産/含有率80%/和室)
INSTRUMENTS
システムキッチン:LIXIL(サンヴェリエ・アレスタ)
洗面台:LIXIL(ピアラ)
トイレ:LIXIL(アメージュZ)
リノベりす編集部コメント
既存を生かす部分と変える部分をしっかり決め、こだわる箇所にはとことんこだわることができるのも、リノベーションならではの魅力。Hさん宅では、家族の体への優しさを考えた自然素材には妥協せず良いものを選び、みんなが毎日過ごす場所を重点的に蘇らせています。家の中でくつろぎながら、常にきれいな空気に包まれ、日々の暮らしが贅沢に感じられる住まいが完成。予算内でもしっかり満足できる見本のような事例でした。