壁式構造のマンションでも叶う モルタル床に光を取りいれた、素材を楽しむ上質リノベーション
東京リノベ (プロデュース)


古材とインダストリアルな家具や照明が映える魅力的なリビング。壁構造のマンションとは思えない、工夫がつまったリノベーションとなっています。
DATA
音楽関係の仕事をされているご夫婦が住む、広いルーフバルコニーが特徴的なヴィンテージマンションです。立地や眺望を気に入り購入されたのですが、北側に集約された光の届かない暗いトイレや浴室をなんとかしたいという事で今回のリノベーションが始まりました。
photo:Kenta Hasegawa
東京のまんなか、リノベに暮らす
壁構造のリノベーションで光る、採光と通気性が自由に行きかう工夫
壁式構造のマンションのため取り払う事の出来ない構造壁が多数あり、リノベーションにおいても間取りの制約がありました。その上で北側まで光を通すと言う難題に、透明ガラスの建具を効果的に使用する事で解決を図りました。キッチンの壁に設けられたアイアンフレームの室内窓は、ルーフバルコニーからのあふれる光を以前は届かなかったエントランスまで運び込みます。またその奥のバスルームへは小窓を設置する事で光を取り入れる事に成功しています。さらに、キッチンの室内窓は引き違いの窓とし、風通しも各段によくなりました。
すべてのドアをガラスにしたことで、窓からの光を遮ることなく家中に行き渡らせることが可能になりました。間取りの自由がきかないため、リノベーションでは嫌遠されがちな壁式構造の建物ですが、やり方次第で想像以上に素敵な空間に仕上がります。壁や建具に遮られ、薄暗かった室内がウソのように光溢れる空間へと生まれ変わりました。
モルタル床とエイジングされた素材を楽しむ
居室の床は絨毯を剥がしすべてモルタルで統一することで、壁があっても隣り合う部屋同士が境界なく自然とつながるように仕上げました。キッチンには換気扇のダクトを隠す意味でも天井をつくり、古材の足場板を張っています。モルタル床の無機質な空間の中に木のぬくもりを感じる事ができ、メリハリのある空間になりました。
リビングの壁や造作家具、カウンターの立ち上がりなども味わいのある古材が使われています。ペンキのこぼれた跡や細かい傷など入念な素材選びから作り出される空間は、ヴィンテージ感あふれる無骨でラフな世界観となっています。
そのほかの画像
MATERIAL
居室(床):モルタル
キッチン(天井)/リビング(壁・一部):足場板(古材)
キッチン(壁):ブリックタイル
浴室(壁):サブウェイタイル
この事例のリノベーション会社情報をみる
リノベりす編集部コメント
古材の足場板にモルタルの床、アイアンサッシと空間を構成するモチーフは全てNYのSOHOやスタジオを感じさせます。アートなご夫婦にぴったりのセンス溢れるリノベーションですね。壁構造のマンションでもリノベーション候補として、大きな可能性を感じるひと事例となっています。デメリットと言われる取り払えない壁と構造の制約の中で見事な技術と工夫によって生まれ変わったリノベーション事例と言えるでしょう。